BMW5シリーズ 詳細データテスト 強心臓と洗練されたサスペンションを兼備 車体は大きくなりすぎ
快適性/静粛性 ★★★★★★★★★☆
以前にi5をテストした際には、テスト車がパッシブダンパーのeドライブ40で、過敏な乗り心地が弱点だとお伝えした。その点、今回の550e xドライブは異なっている。高速道路でも、可能とあればEVモードになるような日常使いのルートでも、すばらしく洗練された乗り心地だ。 なめらかだが弱々しさはなく、20インチホイールを履いていても、ひどいポットホールや路面の波打ちをキャビンに伝えてこないのはうれしい誤算だった。 車内騒音は、80km/hで62dBA、113km/hで66dBAとみごとな静粛性を示した。EVモードなら、さらに2dBA静かになる。 マイナス点は存在感の大きいA/B各ピラーで、交差点などでの視認性を妨げる。また、前席のコンフォートシートのサイドサポートが、タッチ画面を介してしか調整できない点にも不満が残った。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
550e xドライブMスポーツの価格は7万6605ポンド(約1471万円)からで、装備が拡充され7万9605ポンド(約1528万円)のMスポーツ・プロはバリュー・フォー・マネーに優れる。どちらも安くはないが、550e xドライブの独自性を説明するのは難しい。6気筒PHEVセダンを設定するライバルはほかにないからだ。 そこで、いつもなら控えている中古車との比較で考えてみたい。V8を積む先代M550iの低走行車であれば、まだまだ古さを感じさせない上に、5万ポンド(約960万円)以下で手に入る。 EV走行が必要であれば、選択肢は550eに限られる。ワインディングロードでの電費は4.0km/kWhだったので、航続距離は75km少々、市街地では48km以下に落ち込む計算だ。バッテリーを使い果たしてのツーリング燃費は14.2km/Lだが、燃料も充電もフルであれば1000km近く走る。なお、このPHEVの最大充電性能は7.4kWだ。
レイアウト
PHEVに関して言えば、先代のG30と現行のG60との大きな違いはバッテリー搭載位置で、荷室下からキャビン床下へ移った。エンジンは例によってフロント縦置きで、後輪駆動ベースだ。 駆動アシストモーターはギアボックスに組み込まれ、エンジンの直後に配置される。テスト車の前後重量配分は、実測で53:47だった。