【中山美穂さん亡くなる】「精神的には、昔のほうが大人だった」デビュー35周年で語っていた50歳の心境【生前インタビュー】
「音楽活動は、ずっと再開したいと思っていて、自分でバンドのメンバーを集めてリハーサルしたりしていたんです。でも、なかなか本格的に活動できる環境が整わなかった。そうこうしているうちに、18年の暮れぐらいかな。ミュージシャンの浜崎貴司さんが主催する『GACHI』っていう対バン形式のライブに『美穂ちゃん、やらない?』って誘っていただいて」 ただ、この「GACHI」は、弾き語りであることが対バンの条件だった。 「そこから約3カ月間、ギターを猛特訓して。あまりに大変で、もう、泣きながら練習していました(笑)。でもね、頑張った甲斐あって、めちゃくちゃいいライブになったんです。お客さんがみんな泣いているんですよ、久しぶりだから。私も、目を合わせたらもらい泣きしそうだから、なるべくお客さんのことを見ないようにして。一曲一曲、精一杯、心を込めて歌うことができました」 ■常に自分とは別の人格 ライブには、所属レコード会社の役員が足を運んでいたこともあり、その後、すぐにアルバム制作の準備に取り掛かることになった。音楽活動が本格化する一方で、女優業は、次々に新境地と言える役柄に挑戦している。20年にWOWOWで放送される連続ドラマW「彼らを見ればわかること」では、離婚歴ありの人気レディコミ漫画家・内田百々子を演じている。再婚相手の会社経営者と一人息子との家庭を持つ百々子と、同じマンションに住む家族との交流の中で、現代の家族観が浮き彫りになっていく物語だ。 「私自身、普段から共感する部分を探して役を作っていくというより、役は、常に自分とは別の人格だと思っていて。台本を読んだ時点では、百々子に共感も反発もなかったです。ただ、大学時代から漫画を描き始めて、少し世間知らずな部分と、自分の信念のようなものが共存している、マイペースで強い人なのかなと思います」 役を引きずっていた時代とは打って変わって、今は、役は自分とは別人格だと割り切れるようになった。それは、20代の時に、音楽で自分を表現しながら、女優としては自分の殻を打ち破りたいと考えていた時期を通過したことも大きかった。