40代の約7割「老眼鏡に抵抗アリ」 おしゃれな老眼鏡、老眼のセルフチェック方法を1級眼鏡作製技能士が解説
年齢とともに近くのものが見えづらくなる「老眼」。その呼び方とも相まって「老眼鏡」に抵抗感を持つ人もいるのではないでしょうか。株式会社ビジョンメガネ(大阪市西区)が実施した調査によると、40代の約7割が「老眼鏡をかけることに抵抗がある」ことがわかりました。 【写真】「老眼」に対する印象の調査結果 調査は、全国の40~60代の男女106人を対象としてインターネットで実施されました。 まず、「老眼」に対する印象を尋ねたところ、いずれの世代も「不便」(40代73.0%、50代70.3%、60代71.9%)が最多となったほか、40代では「老けた印象で受け入れにくい」が29.7%、「できれば気づかれたくない」が27.0%という結果になりました。 また、「老眼鏡」に対する印象では、目の負担が軽減できることは意識している一方で、「老人のものという印象」(29.25%)、「おしゃれなものが少ない」(26.42%)といった、ネガティブな印象が挙がっており、特に40代では67.5%が「老眼鏡をかけることに抵抗がある」と回答したことがわかりました。 ◇ ◇ 「老眼=老視」は、年齢とともに近くのものが見えづらくなる目の状態のことを言います。目にはレンズの役割をする水晶体があり、その周辺にある毛様体筋と呼ばれる筋肉(調節力)が緩んだり、引き締まって縮んだりすることによって、水晶体の厚みを変えピントを調節します。 老眼は、加齢とともに水晶体の弾力と毛様体筋の働きが低下することで、十分に水晶体の厚さを変えることができなくなり、近くのものが見えにくくなったり、近くから遠くへのピント合わせに時間がかかったりする“目の老化現象”です。平均的に、45歳前後から自覚症状が出てくることが多いとされています。 眼鏡に関する国内唯一の国家検定資格「眼鏡作製技能士」を持つ同社の小倉正道氏は、「老眼は、加齢に伴う自然な現象のため、完全に予防することはできないと言われています。まだ見えるから、自分はまだ若いからと、見えにくい状態を続けていると、目に負担がかかり、疲れを感じやすくなるほか、肩こりや頭痛の原因にもなります」と話します。 また、「スマホを持つ手を顔から離し、眉間にシワを寄せながら画面を見たり、手元を見る時に眼鏡をおでこに上げる仕草は、かえって老けて見える原因にもなります」と指摘しており、手元が見えにくくなったなと感じたら、我慢せずに老眼鏡や遠近両用眼鏡を利用することをすすめています。 さらに、同氏は「おしゃれと“見え心地”を両立する老眼対策アイテム」や「老眼のセルフチェック方法」について、以下のように解説しています。 ▽老眼鏡=老人のもの、おしゃれじゃない!を覆すアイテムはありますか? 「老眼鏡」というと、100円均一などの雑貨店で販売されている既製品や、眼鏡タイプのルーペ(拡大鏡)をイメージされる方が多いのではないでしょうか。すでに決まったフレームデザインとレンズサイズの中から選ばないといけない、トレンドや自分好みに仕立てることができないといったイメージがあり、ネガティブな印象を持たれる傾向があるのではないかと思います。 眼鏡店では、老眼鏡をはじめとする老眼対策用眼鏡を、お好みのフレームとご自身にあった最適なレンズでお作りすることができます。老眼対策用眼鏡も“おしゃれアイテム”として、また、スポーツ時やお仕事時などシーンに合わせて、ご自身のライフスタイルを豊かにできるものであることを知っていただきたいですね。 ▽老眼はいつから始まりますか? ヒトの目の機能は、10歳を過ぎたあたりから少しずつ低下していくので、実は小学生からすでに老眼へのカウントダウンは始まっています。老眼の症状の一つとして、目の「近点距離の変化」が挙げられます。近点距離とは、近視や乱視などの「屈折異常」がない状態(眼鏡やコンタクトレンズで矯正した状態)でピントを合わせることができる、目から最も近い位置のことです。 個人差はありますが、近点距離は30歳では目から14センチ前後、40歳では22センチ前後とされています。老眼になると、近点距離が目から遠ざかっていくので、45歳前後から「近くの物が見えにくくなった」「スマホの画面を遠くに離すと見やすくなる」といった自覚症状が出始めます。 最近は、スマートフォンやPC作業が増え、手元の距離を見る時間が多くなったこともあり、当社のお客様の中には、30代前半から遠近両用レンズを使い始める方もいます。いつ老眼が始まるかは個人差があるため、目の疲れを感じやすくなってきたと感じる場合は、眼科や眼鏡店で視力測定をすることをおすすめします。 ▽以前より物が見えにくくなっただけであれば、放っておいても良い? 老眼の症状が出ると、細かい文字や数字がパッと読めなくなるため、読み間違いや見間違いが発生したり、ピントが合わないことにストレスを感じるようになります。また目の老化は、動体視力や距離を把握する深視力など、様々な視覚機能に支障をきたすため、交通事故や交通違反の発生リスクを高める可能性も考えられます。 加えて、目はどうにかピントを合わせようと頑張るので、筋肉にかなり負担がかかります。その状態が長く続くと、頭痛や肩こり、吐き気などの症状が現れ、日常生活に支障をきたす恐れもあるので、早めに対処しましょう。 ▽自宅で簡単に出来る“老眼のセルフチェック方法” 老眼化を正確に知るためには視力測定が必要ですが、指先を使って簡単にチェックする方法があります。人差し指の腹の方を、顔のすぐ近くに置きます。そこから指をどんどん遠ざけていき、指紋がくっきりと見えるところ(ピントが合うところ)で動きを止め、目からの距離を測ると、自分の「近点距離」を知ることができます。 近点距離が30センチ以上で、小さい文字を読む際に文字がぼやけたり、夕方や照明が暗いと物が見えにくくなる、スマホの文字を打ち間違えることが日常的に起こる方は、老眼が進行している可能性が高いです。 ▽老眼対策用眼鏡には、どんな種類がありますか? 何をどう見たいかで、選ぶべき眼鏡が変わります。老眼鏡は、手元にピントが合うように設計してあるので、手元の視界はクリアですが、遠くはぼやけて見えるため、近くを見る時以外は眼鏡を外す必要があります。一方で、1枚のレンズに、異なる度数を入れた累進レンズを使えば、眼鏡をかけ替えることなく、視線の動きで様々な距離を見ることができます。 累進レンズには、遠くの距離から近くの距離までピントを合わせることができ、主に遠くの見えやすさと視野を広くする「遠近両用レンズ」、50~70cmに素早く楽にピントが合い、中間距離の視野の広さを重視した「中近両用レンズ」、手元から身の回りといった近くを重視した「近々両用レンズ」の3種類があります。 ひと昔前は、度の切り替え位置が見て分かるものもありましたが、最近はレンズ性能が進化しているので、見た目には普通の眼鏡と変わりありません。見る距離によって眼鏡をかけ替える必要がないので、老眼だと気付かれたくない方に向いています。 また、遠近両用のコンタクトもあるので、コンタクト派の方はそちらも検討すると良いでしょう。コンタクトレンズで対策したい場合は、まずは眼科を受診して目の状態を詳しく検査しましょう。そして発行してもらったコンタクトレンズ指示書を、眼鏡店やコンタクトレンズ店へ持参して、購入してください。 ▽老眼対策用眼鏡は、いつから使い始めたら良いですか? 累進レンズは、40歳になったあたりから使用することをおすすめします。老眼の症状が進んだ60代以降に初めて使用する場合、累進レンズ特有の視点の動かし方に慣れず諦めてしまう方が多くいらっしゃいます。しかし、調節力がまだある40代から使い始めれば、比較的慣れやすく、スムーズにかけ続けることができます。 視力の状態によっては、累進レンズではなく、老眼鏡の使用で十分な場合もあります。また、60歳を過ぎると遠近両用レンズ1本だけでは対策が難しくなり、中近レンズや、近々レンズとの併用が必要になることもあります。眼鏡店によって取扱いレンズの種類やグレードが異なりますので、まずは気軽に相談し、ご自身に合う対策を見つけてください。
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