森の中に多くの「遺骨」 “自然葬”を主張する寺に住民は困惑 三重・大台町
三重県の国道沿い、散歩する人も多いという場所で異変が起きています。そびえ立つ木の根元にあったのは、亡くなった人の骨が納められた木製の「骨壺」。暮らしのすぐそばに多くの「人の骨」が置かれ、住民に困惑が広がっています。
住民の散歩ルート沿いに多くの遺骨 「絶対にやめてほしい」
三重県の南部に位置する大台町。町内を流れる清流・宮川では水上アクティビティも楽しめる自然豊かなこの町に、不思議な場所があるといいます。 国道を進んだ道路沿いの山の斜面に見えたのは、無数の人の名前が書かれた木。この山を管理する人に案内してもらうと、木の根元には苔に覆われた桶のようなものが置かれていました。なんと、この中に遺骨が眠っているというのです。 地元住民からは「びっくりしまして、とてもとても嫌ですし困ります。絶対にやめてほしいです」「歩きに行ったり散歩に行ったりする人もいる。私も行くんですけど、それができなくなりました。“遺骨”が埋まってるっていうとね」と困惑する声が上がっています。
なぜ、こんなところに遺骨があるのでしょうか。山の持ち主である寺の和尚に話を聞くことができました。 佛國寺 黙雷和尚: 「森林自然葬・森の墓『いのちの森』というのがありまして。これは“自然葬”ですよ」
この寺の“自然葬”とは、木の下に埋めた骨壺自体も自然にかえっていくというもの。約30センチ四方の木製の骨壺は雨水が入ると割れていき、遺骨と一緒に土にかえっていくといいます。
“遺骨の埋蔵”か“散骨”か… 食い違う意見
この”自然葬”に対して住民から不安の声が上がり、去年12月の町議会では議員から質問も出たため、町が聞き取り調査を行いました。法律では、埋葬または遺骨を埋蔵できるのは墓地のみで、墓地の経営には自治体の許可が必要とあるため、町側は寺に対して墓地の許可申請を求めたのですが…。 佛國寺 黙雷和尚: 「(三重)県と話をした。自然葬だから申請しなくてもいいんですよと言われたんです」 “自然葬”を始めた2007年当時、寺が三重県に確認した際には墓地の許可申請は不要だと言われたといいます。 これに対して三重県は、記録が残っていないので不明としながらも、「許可申請が不要」と言われた背景には、“散骨”という部分があったのではないかとしています。