タイアップがなくなってもライブハウスに似合う曲を演奏し続ければいい――結成26年にして紅白初出場、10-FEETのスタイル #なぜ話題
10-FEETの活動で外せないのは、「京都大作戦」だろう。毎年7月に、京都府宇治市で開催されている10-FEET主催の音楽フェスティバルである。台風や豪雨などの悪天候やコロナ禍などの影響で、何度も開催中止という憂き目にあっている。それでもフェスの開催を続ける意義とはなんだろうか。 「『京都大作戦』の始まりは2007年で、バンド結成10周年記念のイベントやったんです。一回だけのつもりが、台風で中止になってしまった。翌年に『もう一回チャレンジさせてくれへんか』って頼んでやらせていただいた。そうしたら、出演者の皆さんから『毎年やって続けていったほうがいいんじゃないか』って声が上がった。それから毎年開催するようになりました」(TAKUMA) 「気づいたら、もう15年やっていますね。続けていると『京都大作戦に出たい』って言ってくれるバンドも増えてきた。この場所を特別視してくれているバンドやお客さんがいるから、続けていきたいという気持ちもあります。自分たちにとっても、1年間の中で、一番アドレナリンが全開になる2日間だったりするし(笑)。だから京都大作戦は“10-FEETにとっての正月”って言っていますね」(NAOKI) 「勝手に京都を背負ってやっていますからね(笑)。京都代表っていうと言いすぎだけれど、京都で生まれ育って、地元で活動をしていることを強く誇りに思っています。だから京都人として、みんなが楽しめるイベントができているかなって思いますね」(KOUICHI) 「東京にも活動初期の2年だけ、みんな住んでいましたけど、京都に戻ってきたんだよね」(NAOKI) 「東京にそのまま住んでいたら、『京都大作戦』はやっていないんじゃないかな」(KOUICHI) 「説得力がなくなるよね(笑)」(NAOKI)
すごく乱暴に言うたら、ヒットを狙わんほうがいい
順風満帆に見えるバンド活動だが、2007年にはTAKUMAの声帯輪状披裂関節炎の手術のため、ツアーをキャンセルするという事態に陥っている。 「当時は年間100本前後のペースでずっとライブをやっていた。保存療法みたいな感じで3カ月から半年間、歌わずに治していかなあかんってなった。でも、長い期間歌っていないと、下手になるやろうなって思ったんです(笑)。だから、手術を受けて1カ月で現場復帰を選んだ。『こんなに休みが続いていると、ライブをやらないとおかしくなっちゃう』って心配していたのに、そうは感じなかった。ツアーを楽しみにしてくれていたお客さんには申し訳ない気持ちで精神的にもつらいことばかりでしたが、たまには喉を休息させることは重要だなとも思えました。落ち込むようなことがあって、厄年のような一年だったとしても、その年に聴いていた音楽って、自分の人生にとって名曲になっていたりするんですよ。僕は音楽が持つパワーに生かされてきたんで、それに対して恩返しする気持ちでずっと曲を作っています」(TAKUMA) 復帰後の2008年に『VANDALIZE』をリリース。アルバムにはライブの定番曲である「goes on」や「SHOES」が収録されている。その年の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」では、最大6万人を収容できるGRASS STAGEに進出。まさにバンドにとって快進撃となった年だ。 「『VANDALIZE』は、ヒット曲みたいなものを作ろうという意識はなくて、ライブハウスで演奏したときに盛り上がる曲、かっこいいって思われる曲を作ろうと思って制作した。だから、もし売れなかったとしても僕らがかっこいいと信じられる音源になるだろうって信念があった。フェスやライブでの集客が増えていったのは、地道にライブをやって、それを見てくれたお客さんたちが“10-FEETってかっこいいぞ”って感じてもらえたんだと思う。良い曲を作って、ライブをしていった延長線上に、今の10-FEETがあるんじゃないかな」(TAKUMA) 「来年は京都のみやこめっせと、横浜アリーナでのワンマンライブが発表されているんですけど、野外ではなくアリーナ規模でのワンマンは僕らにとっても初めての試み。今は、そのライブをバシッと決めたいですね」(NAOKI) 「『THE FIRST SLAM DUNK』の主題歌にしていただいたのがきっかけで、たくさんの人に注目してもらった。ドラマ『フェルマーの料理』でも主題歌を担当させていただいているのもあって、環境的にはすごくいいんですけれど、それを意識しすぎないようにしている。この先、タイアップがなくなったとしても、ライブハウスに似合う曲を演奏し続けていれば、また機会がもらえる。すごく乱暴に言うたら、ヒットを狙わんほうがいい(笑)。そのほうがバンドとしても良い状態がキープできると思う」(TAKUMA)