入浴時の突然死に要注意! 約9割は65歳以上の高齢者 12月から2月の冬場に集中
今回の発表内容への受け止めは?
編集部: 鹿児島大学の研究グループによる発表内容への受け止めを教えてください。 甲斐沼先生: 突然死の検視結果を保有する県警の協力を得た今回の鹿児島大学による疫学的調査は、鹿児島県内で起きた浴室内突然死数千件の検視結果を解析した画期的な研究であると考えられます。 日中の最高気温と最低気温の差が大きい日、あるいは脱衣所と浴室、浴槽内の湯温との差などによって、高齢者を中心に突然死が多く発生していることを突き止められました。こうした突然死は、激しい温度差によって血圧が急激に変化し、心筋梗塞など致命的な状態を引き起こす「ヒートショック」が主な原因として考慮されています。 「警戒」の情報が出された日時においては、できるだけ入浴行為自体を回避する重要性が高いとともに、仮に入浴する際には脱衣所と浴室間の温度差をできるだけ少なくして心臓に遠い部分からかかり湯をする、そして同居している人と入浴する合図を掛け合うことなどを心がけてほしいと提唱しています。今回の取り組みは全国で初めてとのことなので、各種警戒情報を出すことで今後の入浴死の発生件数が減るなど、ポジティブな結果が得られることが期待されます。
編集部まとめ
鹿児島大学の研究グループは、入浴時の突然死の検視をおこなった警察の協力を得て調査した結果、入浴時に起きた突然死の約9割が65歳以上の高齢者で、およそ半数が12月から2月の冬場に集中していたことがわかりました。今後も高齢化が進む中で、こうした入浴時の突然死の懸念も増えると考えられることから、こうした研究や取り組みには注目が集まりそうです。
【この記事の監修医師】
甲斐沼 孟 先生(TOTO関西支社健康管理室産業医) 平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) TOTO関西支社健康管理室産業医。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など多数。日本外科学会専門医 日本病院総合診療医学会認定医など。