ダイハツが本気出すとこんなことになる! ブーンX4がガチで熱すぎるクルマだった
ダイハツの異端児⁉︎ ブーンX4とは
惜しまれつつも昨年末で販売終了となってしまった、ダイハツの登録車のエントリーモデルであったブーン。軽自動車はちょっと……というユーザーや軽自動車からのステップアップユーザー、営業車として導入する事業者など、さまざまなユーザーから支持されていたモデルだ。 【画像】ダイハツ・ブーンX4のインパネなどのそのほかの画像を見る(12枚) そんなブーンは、前述したように、どちらかというと穏やかなキャラクターを持った車種というイメージが強いかもしれないが、初代モデルには異端ともいえるホッテストモデルが存在していた。それがブーンX4である。 X4の名前は1990年に3代目ミラのフルタイム4WDターボモデルに初めて採用されたもので、翌年にはX4をベースとしたモータースポーツベース車のX4-Rを投入。その後はX4がモータースポーツベース車の代名詞となり、4代目ミラやストーリアなどに設定されていた。 ブーンに設定されたX4ももちろんモータースポーツベース車という性格が強く、スポーツモデルにありがちな装備マシマシの上級グレードというものではなく、競技に必要なものだけを搭載し、競技に不要なものや交換が前提となるものは簡素なグレードのものをそのまま使用するという割り切りぶりだったのだ。 その代表例がパワートレインで、YRVに搭載されていた1.3リッターターボのK3-DET型エンジンをベースとし、排気量を936ccにスケールダウンさせたKJ-VET型エンジンと、通常のブーンには設定されていない5速MTを搭載していた。 この中途半端な排気量は、当時のJAF公認競技に参戦するときにターボ係数をかけても1.6リッター以下のクラスに参戦出来るように逆算されたものだったのである。 ほかにもトランスミッションは高速走行には不向きとも思われるほどの本気のクロスミッションとなっており、フルタイム4WDのフロントには機械式LSDを搭載。前後スタビライザーやインタークーラースプレーなど、競技に参戦する上で必要とされるようなものも標準装備となっていた。 一方、交換が前提となるホイールはスチール製でフルキャップもレス。シートもホールド性皆無のベーシックグレードのものとなり、キーレスやエアコンもなし。Bピラーのブラックアウト化も省かれるなど、競技に不要なものや交換されてしまうものはことごとく省略されていたのだ。 ただ、本格的な競技ユースではなく、たまに走行会に参加したい、と考えるような一般ユーザーの存在も考慮して、エアコンやキーレス、アルミホイールにプライバシーガラスなどを装備した「ハイグレードパック」も用意されていた。 そんなダイハツの異端児というか、むしろダイハツらしさを感じ取ることが出来るX4シリーズも、初代ブーンを最後に姿を消してしまっているが、ダイハツ再生のシンボルとして復活してくれることをひそかに期待している人は少なくないハズだ。
小鮒康一