【ベネチア国際映画祭2024】 金獅子賞はアルモドバル監督作!受賞結果一覧。ニコール・キッドマンに女優賞!
「世界中で安楽死が可能になるべき」
ペドロ・アルモドバル監督がベネチアで金獅子賞を受賞するのは初めて。 受賞スピーチでは、「金獅子賞は自分の家族と、主演した2人のスターに捧げたい。全編英語で作ったが、作品の精神はスペイン的なものだ」とコメント。 先日、上映に際しての記者会見で監督は「この映画は安楽死を支持している。世界中で安楽死が可能になるべきだ」と語った。スペインでは安楽死が合法化されている。作品では主人公たちが安楽死について言及するシーンがある。
銀獅子賞(審査員大賞)『Vermiglio』マウラ・デルペロ監督
『Vermiglio』家族と個人のアイデンティティ、移民問題をテーマとし、マウラ・デルペロ監督の独特な視点が評価された。
銀獅子賞(最優秀監督賞)ブラディ・コーベット監督
批評家たちから好評で、銀獅子賞を受賞したのは、ブラディ・コーベット監督『The Brutalist』。第二次世界大戦後に移民として欧州から米国へ渡った建築家とその妻が主人公。それぞれジョエル・エドガートンとマリオン・コティヤールが演じる。 繊細な映像美と建築のメタファー的演出が注目されているほか、移民の不安と苦悩を描いた点で今の時代に刺さる一本と言える。
女優賞 ニコール・キッドマン 『Babygirl』は授賞式を欠席
ニコール・キッドマン演じるCEOと、若いインターンが不倫に溺れるエロティックスリラー『Babygirl』。ニコールは、母が他界という急な知らせを受け取り、授賞式を欠席した。授賞式ではニコールからの手紙が代読された。「ベニスに到着してすぐ、勇敢で美しい母ジャネル・アン・キッドマンが亡くなったことを知りました。私を形作り、導いてくれた女性。人生と芸術の衝突に胸が張り裂けそうです」
男優賞 ヴァンサン・ランドン 『Jouer avec le feu』
ふたりの息子をひとりで育てている父親役を演じたヴァンサン・ランドン。親子関係の複雑さと葛藤をテーマとして作品で、ランドンの演技は役柄の葛藤や感情の機微を深く表現したことが評価された。
選外だが現地で終盤にかけて話題を呼んだ作品を紹介
ここからは映画祭で話題を呼んだトピックスを振り返ろう。まず、受賞にはもれたが注目を集めた作品から。 ジャンニ・アメリオ監督の『Campo di battaglia』は戦争をテーマにした社会派ドラマ。最前線の兵士たちと、彼らの帰りを待つ家族の視点が描かれる。 兵士たちが戦う理由とは? 生き残ることの意味とは? リアリティ溢れる戦場描写と俳優陣の演技はもちろんのこと、戦争の残酷さと個人の葛藤を丁寧に描き出したアメリオ監督の手腕に注目が集まった。