「靴の中はずっとぐちゃぐちゃ」能登半島地震で災害派遣に向かう自衛隊員が持参する装備品のモロさ
◆【救援物資の徒歩搬送と靴】 能登半島地震では道路が崩落した陸路が使えず救援物資が届かないことが大きな問題だった。孤立した集落へ水や食料等を届ける方法は徒歩搬送しか方法がないこともあり救援活動も難航している。傾斜の強い歩きにくいガレ場を重い物資をせおって自衛隊員たちは歩いている。滑りやすい急角度の山道を歩くだけではない。瓦礫が積みあがり、錆びた釘が突き出ているような危険な場所での救助作業もあり、釘などを踏んで足の裏に突き刺してしまう踏み抜き事故などもある。被災地では隊員達の一つ一つの装備品性能は非常に重要だ。今回は、実際に被災地で起こる怪我と自衛隊の装備品について考えたい。 【写真あり】うわっ、吐き気が……長年のよだれや悪臭がしみ込む自衛隊員が使う枕 自衛隊員は大多数が標準装備で戦闘靴(半長靴)2型という官給品を使う。これは救助や被災地作業に最適な靴ではないことがわかった。戦闘靴は長時間歩行で疲れにくいことを重視しており、耐踏み抜き防止効果は乏しい。安全靴JIS規格の強度の半分ほど、600N以上で踏み抜けてしまう。 「踏み抜き事故は最悪、脚の切断となります。足の裏の皮膚は厚いため、踏み抜いた異物に付いた細菌やウイルスが足の裏に残りやすく、洗浄が困難だからです。釘のような細いものでも命取りになります。現場には魔物が居るもので疲労困憊していれば注意力は散漫になりがち。故に装備で防護することが重要」と自衛隊員は言う。 「(東日本大震災時の)会報で相次いで踏み抜き事故の発生報告があった。私も直接2件の事例をみました。水没で道路を通行できないため、屋根を飛んで移動していた際に木材に刺さっていた釘を着地時に踏み抜いた事例です。衛生隊(医師)がいるグラウンドまで後送し処置後2~3日間休暇になったのではないかと思います。後々に踏み抜き中敷が支給されました」と自衛隊員が当時の事例について証言してくれた。 災害派遣経験のある自衛隊員はコンバットブーツや米軍が採用している鋼鉄製のインソール等を自腹で買う。自分の身は身銭を切って自分で守るしかないのが現状だ。