「靴の中はずっとぐちゃぐちゃ」能登半島地震で災害派遣に向かう自衛隊員が持参する装備品のモロさ
◆【靴や雨具の防水性能】 自衛隊の戦闘靴は防水性能のある素材を使っているが、交換頻度が低い。傷がつき防水性能を失っても交換してもらえない。写真の靴も現役だがすでに7年経過している。災害派遣時、冷たい水に長時間さらされた足は、記事の一番上の足の裏の画像に見られるように 最初はむくみ、痛みがでて潰瘍となる。放置すると最後は組織が壊死する「塹壕足(trench foot)」になるリスクがある。 「何があっても自衛隊員は文句を言わずに作業しています。だから、後から大変なんですよね。あと、水の中だって半長靴で入るし被災地のため、靴の中を乾かすことも履き替えることもできず、ずっと靴の中はぐちゃぐちゃです」 踏み抜き事故や塹壕足は我慢せず医療スタッフに送る共通認識が必要だ。上官も隊員も足に異変を感じたら、即座に現場から離脱させ、後方の医療部隊に送る認識を共有してほしい。真面目な自衛隊員は作業に集中するあまりリスクを軽視する。我慢すれば足に障害を持つことになりかねない。 自衛隊の官給品の雨具にもフード等に水が浸透しやすい問題点がある。気温が低い状態で長時間、水が浸透した雨衣を着用すれば低体温症の原因となる。災害派遣に慣れた古参の隊員は登山用品等の優秀な雨具を自費購入している。自衛隊の官給品では耐えられないからだ。米軍は雨具を4種類、重ね着で状況に合わせて雨をしのぐという。装備にお金をかけなければコンディションを維持できないことを米軍は知っている。 自衛隊の官給品の手袋は滑りやすく破れやすい。これまで、災害派遣時に自衛隊員は作業用の手袋や軍手を大量に自腹購入してきた。作業用の手袋や皮手袋、ゴム手袋を状況に合わせて使う必要があるため、隊員は自己投資することになる。怪我をして辛いのは自分達だから仕方ないと彼らは言う。 令和5年7月の「防衛省の自衛隊被服の改善について」という文章では、自衛隊員の手袋等を現状の2セットから4セットに令和7年の概算要求で上げると記載されている。その後、「先の参議院・外交防衛委員会で戦闘靴は元より手袋や靴下まで質と量両方の要請をしたところ、木原大臣自ら大変有り難い回答をいただきました。この度の災害派遣に間にあってくれば幸いです。今後も事ある度に確認してまいります」と参議院の若林洋平議員から報告があった。間に合ってくれればいいと思う。