「他人を絶望の淵に落とす快楽」を初心者に優しく教えてくれる。『ダークアンドダーカーモバイル』は緊張感と遊びやすさが絶妙に融合した“シビアだけどやさしい”ゲームだった
プレイヤーが死亡すると所持品をすべて失う、いわゆる「全ロスト」。これを採り入れたゲームも今ではメジャーとなり、その緊張感に、あるいは他人を絶望の淵にたたき落とす快感に、病みつきになってしまった人も少なくないだろう。 【この記事に関連するほかの画像を見る】 こうしたジャンルのゲームに見られる、自身の一挙手一投足が命取りとなるハードコアなゲーム性は、間違いなく作品の魅力になっている。だがその一方で、初心者からすると「すぐ死んじゃう」、「そもそも操作が難しい」と悩んでしまうこともあるはず。 「面白そうだけど、難しそう……」この手の作品にそんな印象を持っている方にとって、『ダークアンドダーカーモバイル』は救世主になり得るかもしれない。 本作はすでにPCで展開している『Dark and Darker』のモバイル版にあたる作品だ。プレイヤーはダンジョンに潜って物資を収集し、マップ内に存在する敵や他プレイヤーの脅威を退け、無事の生還を目指す。「死ぬと全ロスト」の緊張感は健在だし、ゲームの流れも基本的にはオリジナル版を踏襲している。 しかし実際にプレイしてみると、シビアなゲーム性を保持しながらも、モバイル版ならではのアシスト機能により、かなり遊びやすい作品になっていた。 実際、筆者はPC版をふくめ『Dark and Darker』には1ミリも触れたことのない状態で試遊に臨んだのだが、すぐにダンジョン探索やモンスターとの戦闘、そして対人戦の“勝利の快感”まで楽しめてしまったのである。 というわけで、本稿では完全初心者の筆者のプレイフィールとともに、8月1日(木)からのグローバルβテストで追加される新クラス“ウィザード”を使用した感触をお伝えしていきたい。 文・取材/fab 編集/久田晴 ■『DaD』未プレイの完全初心者でも楽しめる。充実のアシストで遊ぶダンジョン探索 あらためて本作の流れを紹介すると、最大3人のパーティーを組んでダンジョンに挑み、敵や「攻撃的な他プレイヤー」を退けながら物資を収集。そしてバトルロイヤル系ゲームのように徐々にエリアの収縮が始まり、各プレイヤーはマッチの中盤から終盤にかけて出現する「青いポータル」を起動して無事に帰還することを目指していく。無論、ダンジョン中に死亡してしまったら所持品すべてをロストしてしまう仕様も健在だ。 初めて本作に触れる筆者は、文字通り右も左もわからない状態だったため、何ひとつ知識が無い状態でゲームがスタート。 ダンジョンに入ってまずはじめに感じたことは、ダンジョン内の“雰囲気の良さ”だ。少し暗めで「これからダンジョン探索に挑むぞ」という気持ちにさせられる。筆者はいたるところに存在する壺や宝箱をただひたすらに漁っているだけで楽しく、気付けばインベントリの中がパンパンになっていた。 ダンジョン内には当然モンスターも徘徊しており、倒すことで戦利品を漁ることができる。主に通常攻撃とスキルでの攻撃がメインの攻撃手段となっているが、本作には敵に近づいただけで自動で通常攻撃を行う「オート攻撃」、さらに遠距離攻撃には「エイムアシスト」機能が搭載されている。 そのため、攻撃を当てるのにそれほど技術は求められず、ド初心者の筆者でも簡単に攻撃を当てることができた。また後述するが、パーティープレイの際はフレンドリーファイアが発生しないのも初心者には嬉しい。 これらの機能はPC版『Dark and Darker』には存在しておらず、モバイル版オリジナルの仕様。この機能により、筆者のような初心者プレイヤーも、その辺のザコモンスターにはほとんど苦戦することなくダンジョン探索を楽しんでいた。 さらに作中ではダンジョン内で迷わないよう、マップの拡大表示が可能になっている。付近で敵がいた場合にはマップ上に足跡の痕跡が残り、次にどう行動するべきか選択する指針となる。血の気の多いプレイヤーは積極的に足跡をたどるといいだろう。筆者は全ロストの恐怖心に駆られて逃げまくっていたが。 ダンジョンから無事帰還したあとも、再度挑もうとすると「ポーション受け取り忘れ」のリマインド文が表示され、その場で装備することができた。こうした細かい箇所での配慮も行き届いており、開発側の心遣いを感じられて嬉しい。 筆者は『Dark and Darker』も初心者だが、同時にモバイル端末でゲームを遊ぶことも少ない。にもかかわらず、本作ではスタートしてすぐに戦闘や探索をすんなりと楽しむことができた。「全ロスト」をはじめとするハードコアな楽しさを損なうことなく、操作性やシステム面ではモバイル版への最適化が成されていたということだろう。 シビアな魅力を失わず、初心者も直感的に操作できるゲームバランスは絶妙なもの。より遊びやすく、誰でも緊張感ある体験を手軽に味わえるのは『ダークアンドダーカーモバイル』の確かな魅力と言えるはずだ。 ■新クラス“ウィザード”で魔法を撃ちまくってダンジョンを駆け抜けてきた さて、今回の試遊では筆者は新クラス・ウィザードを選択してキャラクターを作成した。ので、ここからはモバイル版のウィザードを使用した感想をお伝えしていこう。 ウィザードは、その名の通り魔法攻撃をメインとした遠距離アタッカーだ。魔法に応じた気力を消費することで攻撃を行なうことができ、魔法の再発動のクールタイムも短いので高火力魔法をバンバン撃つことができる。 前述のとおり、本作には若干のエイムアシスト機能が搭載されているため、筆者のような初心者でも攻撃を当てるのはさほど難しくない。次々と襲ってくるモンスターやプレイヤーに向けて魔法を撃ちまくり、なぎ倒していく様はある種の快感を覚えた。 さらに魔法の編成は自由にカスタマイズすることができる。4つの属性から2つの属性を選び、その属性の中から2つの魔法をセット、といった具合だ。このカスタマイズ機能が非常に奥深く、ウィザード最大の特徴と言えるだろう。 魔法には攻撃以外にも自身を強化するものや短距離テレポートも存在する。今回の試遊では残念ながらすべての魔法を試すことは叶わなかったが、自分のプレイスタイルに応じて魔法をカスタマイズできるので、かなり構成に個人差が生じると感じた。 筆者もゲームをプレイ中、続々と試したい編成が浮かんできて、魔法のシナジーを考えているだけで楽しくなるような感覚に包まれていた。 ウィザードはグローバルβテストで実装されるため、モバイル版ならではの調整をされた本クラスをぜひ体験してみていただきたい。自分だけのオリジナルウィザードで、筆者と同じようにダンジョン内を駆け抜けてみてはいかがだろうか。 ■恒例の(?)メディア対抗戦開催。3人の連携が決まると超気持ちいい 何度かソロプレイでダンジョンに潜り、キャラクターレベルが3になると最大3人までのマルチプレイが可能となる。今回の試遊では各参加メディアによるマッチが行われ、悲喜こもごもの盛り上がりを見せた。 試遊バージョンでは、バランスよく戦えるファイター、弓での遠距離が得意なレンジャー、近接での戦闘に特化したバーバリアン、回復や復活呪文も使用できるクレリック、DPSが高く奇襲や離脱も得意なローグ、魔法攻撃を主体に遠距離から攻め立てるウィザードの6つのクラスが用意され、筆者ら3人はバーバリアン・クレリック・ウィザードというバランスの取れたパーティーで挑むことに。 マルチプレイで遊んだマップ「忘却の城」は強力な敵が多く、赤いカラーリングのスケルトン、高い体力と機動力を備えるコカトリス、すべてのステータスが高水準なゴーレムなどが次から次へと出現。 これらの敵をお互いにコールし合いながら連携して倒していく様は、さながら規律の取れた軍隊のよう。筆者も前線でヘイトを買ってくれている味方に感謝しながらひたすらに魔法を撃ち続けた。上述の通り、モバイル版ではフレンドリーファイアが存在しないという、マルチプレイにはありがたい仕様となっている。 あるマッチの最中には、エリアの収縮が中盤に差し掛かり、そろそろ脱出も視野に入れ始めたころ……マップの中央付近で大規模な戦闘が発生。すでにパーティー同士の戦闘が開始されている所に本パーティーも参戦し、三つ巴の戦いに発展した。 漁夫の利を狙って戦闘を仕掛け、相手が驚いている隙に1人をダウンさせる。しかし相手の素早い対応もありこちらも1人落とされてしまう。その後も1人ずつダウンしてしまい1対1となり、パーティーメンバーに命運を託す状況に。 しかしここで更なるパーティーが参戦。流石に分が悪いので脇道から回り込むような形で一旦撤退する。 なお、本作はパーティーでプレイする際、ダウン時間の味方を一定時間の間であれば助け起こすことができる。また、味方が完全に死亡した際にも「蘇生の祭壇」にて復活させることが可能となっている。やられてしまっても仲間を信じて復活を待とう。 この戦闘では、筆者は運よくダウン状態のまま別の部屋まで移動することができ、一時撤退した味方に蘇生してもらうことができた。が、もう1名は完全に死亡してしまったため、以降はクレリック・ウィザードの2名で行動することとなってしまった。 しかし、それでもまだ戦いは終わらない。先の戦闘音を聞いたのか、他のパーティーがこちらに向かって来ており、そのまま2対3の戦闘が開始された。 素早く相手を1名ダウンさせ、クレリックの回復スキルを受けながら魔法で攻撃を行なっていく。相手がダウンした味方を蘇生している隙にもう1名ダウンすることに成功し、そのままの勢いで戦闘に勝利。その後も漁夫の利を狙ったパーティーとの連続戦闘となったがこれもみごとに撃退。気がつけば、他プレイヤーの墓の中心に筆者たちは立っていた。 漁夫の利を狙った結果、たくさんの漁夫の利に遭い数多くの戦闘を行う羽目となってしまったが、パーティーの連携もあり連続勝利。そのまま無事に生還を果たすことができたのである。この快感たるや……! トリオでの試遊を通じて感じたのは、本作におけるパーティープレイの遊びやすさだ。筆者のような初心者プレイヤーでも、わずか2時間ほどでスキルの有効活用法を覚え、仲間と協力・連携して戦えるようになった。 本作はPC版と同じようなシビアなゲーム性と、モバイル版の初心者でも楽しめる遊びやすさが両立し、多くのプレイヤーが楽しみやすい作品に仕上がっている。 「死んでしまったら全ロスト」というハードコアなゲーム性とは対照的に、モバイル版ならではの進化を遂げ、幅広いプレイヤーに楽しんでもらえるようなシステムを積極的に取り入れた点は『ダークアンドダーカーモバイル』の最大の特徴と言えるだろう。 さらに本作にはダンジョン内で料理をしたり、釣りなどを行える「村」システムがあるという。こちらは実際に体験することは叶わなかったが、PC版にはない新要素だけに、どのような内容になっているのか非常に気になるところだ。 気になった方にはぜひ、独自の進化を遂げ、遊びやすくなった『ダークアンドダーカーモバイル』の世界に足を踏み入れて頂きたい。本作のグローバルβテストは8月1日(木)より、Android、iOS向けに実施される予定である。
電ファミニコゲーマー:
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