「24時間戦えますか?」のリゲインが主力商品の出荷を終了、ひっそり1種類のみに。衰退の一途の栄養ドリンク市場の一方、拡大するエナジードリンク市場。社畜に愛されるエナドリとの”決定的な差”とは?
このように栄養ドリンクは医薬品または医薬部外品のため、「滋養強壮」や「栄養補給」などと宣伝できるのだ。 一方のエナドリは食品衛生法のもと、「清涼飲料水」に分類される。要はコカ・コーラや三ツ矢サイダーのようなジュースと同じ扱いである。 エナドリには栄養ドリンクのように、タウリンは含まれていないため、間違っても医薬品などではない(ややこしいが、海外のエナドリにはタウリンが含まれていることもある)。 その代わりに「カフェイン」と「アルギニン」、あるいは「ガラナ」などが添加されている。前者の説明は省かせてもらうが、後者は必須アミノ酸の一種であり、人の体内で生成できないアミノ酸である。代謝をよくする効果があり、この成分が「リフレッシュ」を感じさせてくれるのである(もっとも、エナドリを飲んでアガるのは、主にカフェインによるものだが……)。
■勝因は「若者向けマーケティング」 栄養ドリンクとエナドリは、それぞれ違った飲み物だ。しかし、「疲労回復」という面においては、医薬品や医薬部外品のほうが効果はありそうである。それが、なぜエナドリに取って代わってしまったのだろうか? そこには、エナドリ側の「若者向けマーケティング」という戦略があった。 レッドブルが日本に初上陸したのは2005年からだが、当時はさまざまな栄養ドリンクが群雄割拠している時代。そこに、同じく「疲労回復」を謳うレッドブルが入り込む余地はなかった。
そこで、レッドブルはタウリンを抜いて清涼飲料水、つまりジュースとして販売することにした。 それはそれで、レッドオーシャンであるが、レッドブルは栄養ドリンクのいない世界で「アガる」「疲労回復」「カッコいい」というコンセプトを全面的に打ち出し、スポーツイベントや音楽フェスなど、若者が集まる場所でプロモーションをかけていく。 同様に現在、エナドリのシェア2位を誇るモンスターエナジーもタウリンを抜き、若者が集まりやすい場所での地道なサンプリング、そしてエクストリームスポーツなどのスポンサーとなり、「イケてる」飲み物というイメージを打ち出した。