再注目を浴びるNewBalance(ニューバランス)「M1000(ワン・サウザンド)」が王権復古したその理由とは?
さまざまなものがクロスオーバーした90年代後半
「ニューバランス」ではランニングカテゴリーでも、大きな3つの柱として500番台、900番台、1000番台がカテゴライズされている。ただし「M1000」は“1000”と銘打ってはいるが、そこには入らない。なぜなら「M1000」はライフスタイルモデルではなく、パフォーマンスシューズだからだ。その用途についても国井さんはこう続ける。
「『ニューバランス』では、90年代後半からパフォーマンスシューズでも“1000番台”の品番が出ていました。用途としてはおそらく多様化されたトレーニングに使われたモデルだと記憶しています。同ブランドではクロストレーニングというカテゴリーはなかったので、パフォーマンスシューズという位置づけをされていたのだと思います。 当時、他のブランドでもクロストレーニングというカテゴリーを作っていたものの、その中にはアメフトのターフトレーニング用シューズもカテゴライズされるなど、90年代はいろいろなものがクロスオーバーする時代でもありました。 ランニングでもオンロード、オフロードだけじゃなく室内も走ったり、アスリートじゃなくても体調維持や健康管理のためにジムトレーニングを行う人もいました。90年代は今でいうクロストレーニングが始まった時代でもあったのです。
『M1000』はデザイン的にもスピードを競うランニング用かといわれれば、そうではありませんよね。だからこそ自分もクロストレーニングっぽいシューズだなと思うわけです。 今の時代の流れの中で、当時パフォーマンス用として作ったシューズも、ライフスタイル用として現代に復刻されていたりします。『ニューバランス』でも当時はこんなカテゴリーが作られていたんだなと思うモデルがしばしば登場するときがありますが、『M1000』もまさにそれなんですよ」 「ニューバランス」で復刻されるモデルにも、昔のモデルゆえ少し異質に見えるものがあったりするが、時代やトレンドにはフィットしている。やはりたくさんのアーカイブを持っている「ニューバランス」の懐の広さと、時代を読む先見の明を感じられずにはいられない。