日本の支援で「虐待や暴力」に声をあげるウガンダの子どもたち
近年、子どもの貧困や虐待・暴力が世界中で大きな関心事となっている。こうしたなか、国内外で子どもたちへの支援を続ける国際NGO「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」は、東アフリカのウガンダで子ども自身や地域住民を主体にした活動をおこなっている。 【画像】日本の支援で「虐待や暴力」に声をあげるウガンダの子どもたち 11月20日の「世界子どもの日」に合わせ、同団体の現地駐在員である内藤優和に話を聞いた。 世界的なインフレや、長引く戦争、自然災害の激甚化などにより、多くの国が景気低迷や政情不安に陥っている。そうしたなかで最も苦しい状況に置かれるのは、社会的に弱い立場にある子どもたちだ。 ユニセフ(国連児童基金)によれば、極度の貧困層のなかで子ども(0~17歳)が占める割合は52.4%と、2013年から5.2%増加した。 貧困と子どもへの虐待は密接な関係にある。世界では16億人の子どもたちが家庭で暴力的な罰を受けており、そのうち3分の2以上は心身双方に被害を被っている。自然災害も深刻化しており、気候危機のリスクにさらされている子どもの数は世界で10億人に達する。 開発途上国の子どもたちは、こうした影響を特に強く受ける。貧困国のひとつとされる東アフリカのウガンダでは、2023年のGDP成長率は5.2%に上るものの、1日2.15ドル未満で暮らす極度の貧困状態にある人の割合は42%(2019年、世界銀行)に上り、格差の大きさがうかがえる。 近年、隣国の南スーダンやコンゴ民主共和国などから多くの難民を受け入れ、さらに洪水・土砂災害などが頻繁に起きていることも、社会の不安定化につながっており、ウガンダの子どもたちは児童労働や児童婚、家庭での暴力や虐待などの問題にさらされているという。 こうした状況を改善しようと現地で活動を続けるのが、子どもへの支援を主軸にする国際NGO「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」だ。 同団体でウガンダ事業を担当し、首都カンパラに駐在する内藤優和(28)は、現地の子どもたちが直面する問題の一端は、その人口構造にもあると説明する。若年層の多いウガンダでは約5000万人の人口に対し、17歳以下の子どもがその半数を占める。子どもの多さが親の負担を増幅し、ケアの行き届かなさにつながっていると内藤は言う。 「現地の人に子どもの数を聞くと、『10人いたけど、2人亡くなっていまは8人』といった答えが返ってきます。子どもの数が多いため、ひとりひとりに手をかけることができず、育児放棄などの問題も起きています。また、『子どもは家計を支える労働力』と認識される傾向が強く、学校に通いたくても通えない若者が大勢いるのです」 2016年に隣国南スーダンで内戦が始まると、多くの人が難民となってウガンダに逃れた。セーブ・ザ・チルドレンはそれを機に、主に難民居住区で子どもの保護の活動を実施してきた。その後、持続的に子どもを虐待や搾取から守る仕組みを作るため、2023年に子どもの保護システム強化事業を、北西部のアルア県とアルア市で開始した。 同事業の特徴は、省庁、地方自治体、地元コミュニティなど多様な層を活動に巻き込み、包括的に仕組みを強化しようとしていることだ。当事者である子どもたちも、そのなかに含まれる。