日本の支援で「虐待や暴力」に声をあげるウガンダの子どもたち
「みんなのために」声をあげる
2023年、アルア県・アルア市では子どもたちが直面する課題について子ども自身が意見をまとめ、最終的にそれを行政に提言することを目的とした「子どもグループ」が設立された。参加するのは10~19歳の子どもたちで、25人から成るグループが、アルア県・市それぞれにひとつずつ作られた。メンバー募集の告知を出した際には、定員50人に対し、300人以上の応募が殺到したという。 グループ内には、「子どもの権利と保護」「環境と文化」「教育とスポーツ」「保健栄養」の四つの委員会が設置され、子どもたちはいずれかに所属しながら、子どもを取り巻く課題についての意見をまとめ、政府へ提言する。 初回のオリエンテーションで、生まれ育った村も学校も違う同世代が初めて一堂に会したときは、誰もが緊張していた。だがワークショップやグループワークを始めると、子どもたちはすぐに活発に発言するようになった。内藤は、ウガンダの子どもたちの問題意識の高さや、積極性に驚かされたという。 「ワークショップのときに発言が出なくて困ることはなく、むしろ前向きに自分の意見を述べ、活発な意見交換を重ねています。誰もが自分たちをとり巻く環境を変えたいという強い問題意識を持って参加しており、子どもの権利に関する理解も深く関心が高いと感じます」 子どもグループの参加者が、実際に問題の渦中にいる場合もある。ある参加者は、両親がおらず祖母に育てられたが、貧しさのせいでいつ学校に行けなくなるかわからないという悩みを内藤に打ち明けた。親から暴力を受けていたり、学校を中退してしまったりした友人のために何かしたいと話す参加者も多い。その利他的な姿勢に心を打たれたと、内藤は言う。 「子どもグループのメンバーからは、友だちのためにこの活動に参加したという声がよく聞かれます。自分のためだけではなく、みんなのために社会を変えたいという気持ちが彼らのモチベーションになっているのです」
Chihiro Masuho