「カール・アンドレ 彫刻と詩、その間」(DIC川村記念美術館)レポート。ミニマル・アートの代表的な彫刻家による日本の美術館での初個展
実験的で多様な詩も紹介
生涯に2000編以上の詩を書いたというアンドレ。とくに1950~60年代に精力的に取り組み、作家にとっては後の彫刻制作につながる実践も見られるそうだ。本展では、ジョン・L・スティーブンズのベストセラー旅行記『ユカタンの旅の事物記』(1843)の目次の項目を用いた「ユカタン」、事務用のバインダー7冊「セブン・ブックス」に500編以上の詩が綴じられた、アンドレの初期の詩のアンソロジーの2シリーズを紹介。詩が収められた什器は、アンドレが95年にデザインしたものをもとに制作されたという。 本展のハンドアウトには、「アンドレの作品には空間、時間、人間など不可欠な要素があり、その多くに『間』という漢字が含まれます。ご鑑賞にあたり、彫刻と詩の間、自身と作品の間など、是非さまざまな要素の『間』に思いを巡らせてみてください」という一文がある。しばし日常を離れ、ゆったりとした空間でその「間」に身を浸してみる時間はどうだろうか。
Chiaki Noji