金融庁らが語る「デジタル人材の確保、育成3カ条」、攻守両立への道とは?
金融庁は全国の金融機関に対し、ITガバナンスとDXを同時に推進する立場にあります。これらは一見すると相反するものにもみえますが、当局は大手金融と地銀の「ITガバナンスとDX」について現状をどのようにみているのでしょうか。「デジタル人材の確保、育成」「攻守両立を実現する考え方」などについて金融庁 総合政策局審議官 柳瀬 護氏や金融データ活用推進協会顧問(元金融庁長官)中島 淳一氏のコメントからポイントを探ります。 【詳細な図や写真】「金融機関のITガバナンスに関する対話のための論点・プラクティス」の位置付け(出典:金融庁公表資料)
金融庁審議官「生成AIへの考え方」
2023年6月、金融庁は「金融機関のITガバナンスに関する対話のための論点・プラクティスの整理」(第二版)を公表。この中で、ITガバナンスの構築に向けた経営陣のリーダーシップや、リスクとコストのバランスすることの重要性を改めて指摘しました。 金融庁総合政策局審議官の柳瀬護氏は「金融庁では、片方のイノベーション、片方のリスクとでどうバランスを取るのかが常に課題になる」と指摘します。 「人は新しいことをやるリスクに対しては結構敏感だが、新しいことをやらないリスクはなかなか気にならない部分があると思う。我々(当局)としても、金融機関の皆さんがどうやったら、新しくやることのリスクを抑え、やらないリスクをきちんと評価できるようにするのか考えていかなければいけないと思う」(柳瀬氏) また、「リスクも考えると最初はどうしてもスモールスタートになると思うが、取り組みや教訓を皆さん(民間事業者)の中で共有し、進めていくのが非常に重要」と述べました。 生成AIの活用については「金融は、失敗に対する抵抗が極めて強い業界だと思う。やってみて3~7割は失敗するかもしれない中、大々的に失敗しろとは私の立場ではなかなか申し上げられない」と前置きしました。 その上で、「ある意味、石橋を叩いて渡るというよりは、どういうところであれば失敗してもよいのかを見つけながら試していただくことが、重要なリスクマネジメントではないかと思うので、ぜひそういった観点から進めていただければ」と呼びかけました。