7年経っても癒えない傷…「あのとき死んでたら楽だったのかな」『いじめの後遺症』に悩む当事者 なぜ認知が低い?
■『いじめの後遺症』治療法はあるのか?
そもそも、いじめ後遺症はPTSD、適応障害の症状が年十年も続き、その後のストレスでさらに悪化することもある。東大の精神科医、滝沢龍氏によると、イギリスでは7歳から11歳までの間にいじめ被害を経験した約8000人に対し追跡調査し、PTSDのリスクが2割増え、いじめの後遺症のエビデンスとされている。 2021年の旭川での女子中学生自殺の事件では、当時、教育委員会の調査で「いじめと自殺に因果関係はない」と発表した。しかし斎藤氏ら専門家が「いじめの後遺症が自殺に至った要因の一つ」と訴え、再調査で「いじめ(後遺症)と自殺の因果関係を認める」という結論に至った。 斎藤氏は「今まで報道されてきたいじめ自殺は直後に亡くなる方が多い。だから直後に死んでなかったから違うと判断されやすい。全くエビデンス重視ではないというのが現実だと思う」との考えを述べた。 いじめの後遺症の治療法はあるのか。「PTSDとして考えても、一般的には完治はしないが薬物が部分的に有効だったりすることもあり得る。精神療法としては一番有名なのは持続曝露療法で、自分の経験を繰り返し語ることでインパクトを弱めていく方法。一般的には集団の中で、人薬という安全な環境で親密な人間関係を経験しながら、自分のトラウマ経験を上書きしていくことも不可能ではないと思う」と答えた。 (『ABEMA Prime』より)