ウルグアイ大統領選、左派が5年ぶり政権奪還 対中交渉に影響か
南米ウルグアイで24日、中道右派ラカジェポー大統領の任期満了に伴う大統領選の決選投票があり、野党の左派「拡大戦線」(FA)のヤマンドゥ・オルシ前カネロネス県知事(57)が与党「国民党」のアルバロ・デルガド前大統領府長官(55)を破り、当選を確実にした。地元メディアが伝えた。 左派が政権交代を実現させたのは約5年ぶり。南米南部共同市場(メルコスル)に加盟するウルグアイは、現政権下で中国との自由貿易協定(FTA)締結と環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加を目指した。しかし、メルコスルでは域外国と単独で貿易交渉することを禁じており、ブラジルなど他の加盟国からの反発を招いた。 オルシ氏はロイター通信とのインタビューでメルコスルとの関係を重視すると表明しており、両協定の交渉に影響が出る可能性がある。一方でオルシ氏はFA政権時代の2018年に中国の経済圏構想「一帯一路」の覚書に署名したことに言及。「それは我々に非常に有益だ」として、中国からの投資を歓迎する意向も示している。 大統領選には11人が立候補した。地元紙パイスがまとめた選挙管理当局のデータによると、開票率99・94%時点の得票率はオルシ氏が49・84%、デルガド氏が45・87%。オルシ氏は支持者を前に「経済的、社会的、政治的に誰一人取り残されない社会を築く」と勝利宣言した。一方、デルガド氏は敗北を認めた。 最大の争点は中道右派政権への評価だった。ラカジェポー政権は堅実な経済政策を取ったが、賃金の停滞が続いた。また、近年は南米産コカインを含む麻薬の密輸の中継地となって犯罪組織が暗躍するなど治安面でも課題を残した。オルシ氏はその清貧さから「世界一貧しい大統領」として知られたムヒカ元大統領(89)から支援を受けた。 新大統領は来年3月1日に就任する。任期は5年。【ニューヨーク中村聡也】