年金は現役年収の5割くらいだと聞きました。今の年収が500万円なら年200万円くらいは受け取れる?
「年金は現役年収の5割が目安」と知って、年収の半 分程度の年金がもらえることを前提に、老後の資金計画をたてている人もいるでしょう。しかし、実際には年金額が年収の5割に届かないケースがあるため注意が必要です。 本記事では「年金は現役年収の5割」の正しい考え方を解説するとともに、年収500万円の人のもらえる年金額をシミュレーションします。
所得代替率5割は公的年金の給付水準の下限
65歳時点の年金額が、現役世代の手取り年収と比較してどれくらいの割合かを示す数字を「所得代替率」といいます。所得代替率が5割というのは、厚生労働省「平成16年改正年金財政フレーム」に示された、年金給付水準の下限の値です。 年金の所得代替率はどのように算出されるのか、今後どう推移すると考えられているのかを、簡単に解説します。 ■所得代替率とは 年金の所得代替率は、次のモデルとなる男性の手取り月収に対する、夫および専業主婦の妻の年金受給額の比率で求めます。例えば、2019年度の所得代替率は、次のモデルがもとになっています。 ・現役男性の手取り月収:35万7000円 ・世帯の年金月額:22万円(夫の厚生年金9万円、夫婦の基礎年金13万円) 所得代替率=22万円/35万7000円=61.7% あくまでもモデル世帯の年金額をもとに算出するものであり、個人の収入に対する個人の年金額の比率ではありません。実際には、世帯の一人あたりの所得が低いほど、その世帯の年金の所得に対する比率は上がります。 ■2024年度のモデル世帯の所得代替率は約6割の見通し 2019年の財政検証では、今後の年金の所得代替率の推移につ いて、いくつかのケースが示されました。2024年度の所得代替率は約60%になると見込まれており、以後、経済成長と労働参加が進めば、年金の所得代替率は50%を超えて推移すると考えられています。 一方、経済成長と労働参加が進まなければ、最低ラインの50%で給付水準を維持しつつ、年金制度のあり方について検討を迫られる見通しです。