天理中から東海大大阪仰星へ 「らしさ」光った追加点 高校ラグビー
◇全国高校ラグビー大会準決勝(5日・東大阪市花園ラグビー場) ◇○東海大大阪仰星(大阪第2)29―26常翔学園(大阪第3)● 【写真で振り返る】東海大大阪仰星-常翔学園(準決勝)全国高校ラグビー 気付いたら声を上げていた。17―12の後半17分、東海大大阪仰星のウイング(WTB)隅田陸斗が奪ったトライ。同じストーリーを全員が共有する「仰星らしさ」が詰まった追加点だった。 相手陣約15メートル。スタンドオフ(SO)吉田琉生が球を持つと、「裏、空いてる!」と東海大大阪仰星の選手たちが叫んだ。隅田もその一人。声とともに走り出した。一列に並んだ常翔学園の選手たちが前がかりになっているのが見えていた。 声に呼応するように、吉田が絶妙なキックパスをディフェンスラインの裏に転がした。相手がゴール前でなんとか球を確保したが、東海大大阪仰星の選手たちが次々に押し寄せてターンオーバー。最後は隅田が勢いよく走り込んでこぼれ球を拾い、相手に絡みつかれながらインゴールに飛び込んだ。 鋭いランと、トライへの嗅覚が持ち味の3年生。少し変わった経歴を持つ。奈良・天理中出身。全国高校大会で優勝6回の天理にそのまま進学する選択肢もあったが、東海大大阪仰星の「全員で考えるラグビー」に憧れがあった。「チャレンジしたい」と進学先を決めた。 高校では常に考えることが求められた。練習の合間に細かくミーティングが開かれ、選手間で意見を出し合って思いを一つにする。当初は苦労したが、吉田ら意識の高い同級生を手本に食らいついた。 トライを奪った一連のプレーも、何度も練習で連係を確認したもの。「全員で意思統一できていた」と隅田はこともなげに振り返る。徹底力と遂行力を磨き、頂点まであと一つまで来た。【石川裕士】