「リニアの地下神殿」使わなきゃ勿体ない!開業前から“行きたい駅”めざす 「神奈川県駅」のいま
リニアの開業前から「行きたくなる駅」を目指す!?
リニア中央新幹線は2027年の開業を目指していましたが、大井川流量減少などの懸念から静岡県が南アルプストンネルの着工を認めなかったため、早くても2034年以降の開業となる見込みです。 そのため、交通結節点である橋本駅の駅前が、約10年間も活用されない状態が続くことになり、現場では地域連携の取り組みが模索されてきました。 2022年10月、工事現場で「さがみはらリニアビジョン」が開催。大規模な掘削斜面にリニアの計画や工事に関するプロジェクションマッピングが投影されるイベントが開催されました。続いて2023年10月には、地元の高校やJR東海音楽倶楽部による「さがみはらリニアコンサート」も開催され、こうした取り組みが、今回の「さがみはらリニアフェスタ」に発展していきます。 「さがみはらリニアフェスタ」は、県と相模原市、JR東海の3者による共催です。入場無料(予約制)で、地域貢献の側面が大きいイベントですが、2日間で約6000人分用意されたチケットが全て予約済みになったといいます。 初日の11月9日は、日光が底面まで降り注ぐ晴れで、「地下神殿」内に設けられた特設ステージには、多くの人が集まりました。ここに今回立って歌声を披露したのが、ミュージシャンの河村隆一さん。歌い始めると、一面に声が響き渡り、音響面でとても良い環境となっています。 イベントに駆け付けた神奈川県の黒岩祐治知事は「約10年間も巨大な空間がそのままになるのは余りにももったいない。エンターテインメントの拠点にできないかということを考え、JR東海の協力により、今日はその第一歩を踏み出すことができました」と挨拶。「今後の工事の進捗により、使える場所が変わっていきますが、その度に仮設のステージを設けたいと考えています。リニアの開業前から『行きたくなる駅』を目指していきます」と力を込めました。 このほかイベントでは、国道16号との交差部分にあるトンネル内に、リニアのプロジェクションマッピングが投影され、中央新幹線の開業後をイメージできるような映像を見ることができました。残土を積み上げた「リニアひろば」も開放され、来場者が工事現場を見学できるように配慮されていました。 また、会場の入口付近には、神奈川中央交通の「木炭バス」も展示。交通事業者の垣根を超えた協力も見ることができました。
乗りものニュース編集部