千葉沖の「スロースリップ」“能登半島地震”でも起きていた “ゆっくり滑り”は大地震の前兆なのか
千葉県東方沖で相次ぐ地震について、政府の地震調査委員会は、プレートがゆっくりと滑る「スロースリップ」が起きているとして、震度5弱程度の地震に注意するよう呼びかけています。こうしたスロースリップは、1月1日に発生した能登半島地震の前にも起きていた可能性が指摘されています。スロースリップは大地震の前兆なのでしょうか。 【写真を見る】図で見る“群発地震のメカニズム” ■体には感じない「スロースリップ」東日本大震災でも発生 千葉県東方沖や周辺では2月23日から地震活動が活発になっていて、2月29日から3月9日にかけて4回、震度4を観測しました。 国土地理院が発表した暫定結果では、房総半島沖でプレートの境界が最大でおよそ2センチずれる「スロースリップ」が確認されました。 スロースリップとはプレートや断層がゆっくりと滑る地殻変動を指します。通常の地震では、地下にたまったひずみエネルギーが解放され、断層がずれ動くことで地上でも揺れに気づきますが、スロースリップはごくわずかな地殻変動のため、地上で揺れに気づくことはありません。 スロースリップ自体が被害を生じさせることはありませんが、スロースリップがきっかけとなって規模の大きな地震が起こることがあり、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)でも地震前にスロースリップが起きていた可能性が指摘されています。 今回、地震が多発している房総半島沖では、数年に一度のペースでスロースリップを伴う活発な地震活動が確認されていて、2007年には最大震度5弱を観測しました。 こうしたスロースリップは、1月1日に発生した能登半島地震の前にも起きていた可能性があります。 ■能登でも「スロースリップ」大地震のきっかけか 石川県珠洲市周辺では2020年12月ごろから活発な地震活動が続いていました。一度大きな地震が発生した後に徐々に地震が落ち着く「本震―余震型」と異なり、長い年月をかけて大小の地震を繰り返す「群発地震」と呼ばれる現象です。震度1以上の地震は能登半島地震が発生する前の2023年12月末までで506回に上っていました。