千葉沖の「スロースリップ」“能登半島地震”でも起きていた “ゆっくり滑り”は大地震の前兆なのか
それからわずか半年余り、震度7の揺れが能登半島を襲いました。 ■“ワーストシナリオ”を上回る「M7.6」流体が引き金に 2024年1月1日に発生した能登半島地震では、輪島市と志賀町で震度7を記録。東日本大震災以来となる大津波警報が発表され、能登地方では場所によって高さ4メートルほどの津波が押し寄せました。 能登半島地震について、地震調査委員会は2月、沖合にある複数の断層が連動した可能性があるとする見解をまとめました。研究者が指摘していた海底活断層です。 研究者にとっても、M7.6という規模は驚きでした。西村教授は「M7クラスというのは十分ありうると思っていても、M7の前半だった。正直、M7.6というのはワーストシナリオをさらに上回る規模だった」と明かします。 スロースリップは大地震の原因だったのか。西村教授は、今後も解析を続ける必要があるとしたうえで「海底活断層に元々、地震を起こすようなエネルギーが溜まっていて、群発地震や流体が最後の一押しになった可能性がある」といいます。 ■千葉「震度5弱のおそれ」備えは十分か 被災地からの警鐘 千葉県東方沖で相次ぐ地震について、地震調査委員会の平田直委員長は「数週間から数か月の間、震度5弱程度の強い揺れが観測される可能性がある」として、家具の固定など地震への備えを見直すよう注意を呼び掛けています。 一方、地震が相次いでいた能登半島地震の被災地はどうだったか。能登地方は全国平均と比べても住宅の耐震化率が低く、古くからの木造住宅が倒壊して多くの人が亡くなりました。西村教授は、スロースリップの検出に成功しながら、住民に十分な対策をとらせることができなかったと振り返ります。 「地震の可能性が高まっているのは科学的に間違いないが、本当に絶対来るか来ないかと言われると、来ない可能性のほうがやはり高いと思う。高齢化が進んでいて『自分の代まで家が持てばいい』と思っている地域で、金もかかる耐震化を進めないといけませんよと言うのはやはり難しかった」
一方で、ハードルが高い耐震化でなくても、きょうにでもできる防災もあります。寝室に倒れやすい物はないか、家具は固定されているか、非常食を備蓄できているか。地震の可能性が高まっているのなら、1歩ずつでも備えを進める。能登の被災地からの警鐘です。
北陸放送