一流企業に勤める「父親」の“過干渉”がトラブルの原因に…「中学受験で親子関係が破綻する」のはどんな家庭か
“答えが合うまで何回もやり直せ”
こうした相談は近年増える傾向にある。 「私は1998年にアメリカから帰国して、日本で小児科の外来を担当するようになりましたが、当時は中学受験に関連した心身症状で相談に来られる方はそれほど多くはありませんでした。ただ、この2、3年は体感として増えている印象があります。最近だと私立中学受験だけでなく国公立の中高一貫校への受験対策で疲弊してしまうことも。相談で多いのは大学を卒業されている高学歴親の家庭です。親の平均年齢も上がっていて、小学校5、6年生の親だと40代前半が多かったのに、最近は40代後半、50代ということもあります。30代後半、40代での出産が増えた結果、何が起きたかというと、一人っ子の家庭が多くなり、その子に高い教育費をかけられるようになった。そのため、“子育てを失敗できない”と語る方が増えているのです」 そこで起きるのが、「親の過干渉」だ。 「親が良かれと思って、幼少期から塾や習い事を7つも8つもやらせる。子どもの才能を伸ばしてあげよう、とか親がなしえなかった自己実現を子に託そう、といった考えは昔からあるのですが、中学受験に臨む社会的地位の高い親が増えてきて、その傾向がより顕著になってきていると感じます」 共働き家庭が増えたことによる変化もある。 「かつては、大学を卒業した女性でも結婚を機に家庭に入り、“専業主婦”として子どもの勉強に過干渉し、トラブルが起きるケースがありました。最近は女性が結婚後も仕事を辞めないことが増えたので、父親が子どもの教育に関わるようになってきています。父親の過干渉は母親とは違うアプローチで行われます。社会的に成功している父親の場合、長く部活動をされて、一流企業に入る方もいるので、部活感覚で“根性”を重視する。“答えが合うまで何回もやり直せ”と小学校3年生、4年生でも怒鳴って、夜中の2時まで泣かせながら子どもに勉強をやらせる、なんてこともあるのです」