ライオネス飛鳥が見た全女の最後「売れないような土地や、株とかもだまされて買わされていた」引退後に選んだ道が“銀座の街”だった理由
「人生の転機は、なんといってもビューティーペアに出会ったこと」
一般的には、ライオネス飛鳥選手というと、極悪同盟と戦う正統派レスラーという印象が強い。しかし、復帰後の飛鳥さんは、身体を張るようなコードコアマッチもこなすヒールとしてリング上で活躍した。当時を振りかえると「最初は戸惑ったけれど、病気もしたし失うものはない。そこで覚悟を決めたのが転機です」と語る。 「人生の転機は、なんといってもビューティーペアに出会ったこと。第二の転機は、プロレスラーになって、長与千種と出会ったことのふたつですね。レスラーに復帰したときは、病気などもあって身体の調子も良くなかったし、プロレス界の時代も変わっていたのでけむたがられた。“このままフェードアウトしようかな”っていう言葉が頭をよぎったときに、もしもそこで引退をしてしまったら、いままでのレスラーとしてのライオネス飛鳥がなくなるって気づいた。 過去の経験が、まだプロレスを続けようという強い気持ちにつながっていったんです。そんな迷いがある中で、ヒールにならないかという話をもらった。そこで、悪役であるヒールに転向したときに、本当のプロレスラーになれました。レスラーは強いだけではなくて、感情の起承転結をお客さんに伝えるのが重要。復帰してヒールになったことで、プロレスの楽しさを改めて学べました。そこで、ヒールになって本当に良かったなって思いました」
二度目の引退後に進んだ道は“銀座の街”
──復帰後の二度目の引退時は、どのようにして決断されましたか? 「42歳のときに、二度目の引退をしました。それまでもケガがあって、それでも十分やれるだけのことはやってきたので、プロレスを辞めるという決断ができた。ちょうど引退の2年前に、友だちが経営していた飲食店が六本木から銀座に移った。そのタイミングで、“店を手伝ってくれないか”と声を掛けられて。 それまでも、ちょっと遊びで手伝ったりはしていたのですが、本格的にお店に出勤することになって2年ほど働いていました。引退した後は飲食店勤めを続けてましたが、いろいろあって、そこの店は辞めなければならなくなって。せっかく銀座でつちかった人脈を使わない手はないなと思って、自分でお店を経営したのが19年前です。新たな第二の人生を歩き始めた転機は、銀座という街でしたね」 まだ現役時代の風格が残るが、銀座での飲食店の経営者としては19年目を迎えた。 「いまは『極悪女王』バブルですね。でも店を始めて10年を過ぎるまでは大変でした。人を使うマネージメントに関してはいまも悩みますね。お客さんが“ライオネス飛鳥”に会いに来ているので、接客中はマネージメント側に回れない。スタッフにうまくサポートしてもらわないと、一人ではお店ができない。これまではスタッフに対する会話で“これは仕事だから当たり前”と感じる部分があった。 でもいまは年々、スタッフは大事にしていかなければいけないって思うように変わりました。あと10年は店を頑張ろうと思っているので、誰かに店を継がせようという意思はないですね。なにかの転機が起きて、私以外にも店が任せられる状況になればそうしたいですが。いまの時点だと、あと10年頑張って店ができなくなったらたたもうと思っています」 ※本人のインスタグラム@lionessaskaより ──クラッシュギャルズや極悪同盟の退団後、全女は集客の減少や事業の失敗などで経営が傾きました。そのころは、全女とはつながりはありましたか? 「会社が傾き始めたときは、もう全女を引退していたので、ノータッチでした。でも引退する前から、不動産や株、飲食というようなプロレス以外の事業にも手を出していましたよ。私たちが辞めるときはまだ経営が良かったのですが、退団した後はバブルがはじけていましたよね。秩父にアメリカから輸入した木材で“リングスター・フィールド”という全女の合宿所も造った。でもその建物もまだ売れずに残っているんですよね。結局、売れないような土地や、株とかもだまされて買わされていた。一部の人だけがもうかったって聞いています。 そこから会社自体が再建に入って、私たちが辞めた後の後輩たちがつらい目に遭(あ)っていますね。『極悪女王』でも会社が悪徳なことをやっていましたけれど、それでもまだ健全でしたよ。それからは、下り坂ですよね……(苦笑)」
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