浅尾環境相、水俣訪問を言明せず 被害者団体は早期懇談を要望するが…「今は事務方で信頼関係を醸成」
浅尾慶一郎環境相は4日の閣議後会見で、水俣病の現地を訪問する考えがあるか問われ「今のところ事務方で信頼関係を醸成しており、その中で適宜適切に判断していきたい」と述べた。患者・被害者団体との懇談に関して言明を避けた。 「被害者に寄り添って…」とよく言うけれど、その姿が見えないのです。団体側への要求には「ゼロ回答」、正常な対話ができた喜びと落胆。水俣病再懇談は平行線をたどった
浅尾氏は「事務方で継続的な意見交換をしている。そうした中で信頼関係を醸成していく」と強調。「水俣病は環境行政の原点。長い歴史があり、しっかり対処する」と話した。今後の現地訪問の可能性については否定しなかった。 5月の患者・被害者団体との懇談で環境省職員が団体側のマイクの音を切った問題を受け、当時の伊藤信太郎環境相は7月に再懇談を実施した。水俣病被害者獅子島の会と水俣病患者連合は1日、新たに就任した浅尾氏に早期の懇談を求める申し入れ書を提出した。 ◇連絡会が要請書「大臣との直接対話が信頼深める」 水俣病被害者・支援者連絡会は4日、浅尾慶一郎環境相宛てに、熊本県水俣市や新潟県で11月にも懇談と視察の実施を求める要請書を送付したと発表した。 同連絡会は、水俣市や新潟県の被害者関係31団体で構成する。要請書は大臣自らが現地に赴き、被害者の声を直接聞くことが信頼関係を深めると指摘。話し合いを重ねることが問題の解決に欠かせないと訴える。
同連絡会の担当者は「水俣病問題を環境省の原点と考えているならば来てほしい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島
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