国際的なアニメ作家、久里洋二さん死去 96歳、「11PM」「みんなのうた」「ひょっこりひょうたん島」で手腕
アニメ作家として国際的な評価を受けた福井県鯖江市出身の漫画家、久里洋二(くり・ようじ、本名栗原英夫=くりはら・ひでお)さんが11月24日、老衰のため死去した。96歳。葬儀・告別式は近親者で行った。 旧制武生中を卒業し、1950年に上京。漫画家横山泰三さんに師事。1958年に文芸春秋漫画賞を受賞した。その後は、イラストレーターの柳原良平さん、真鍋博さんと「アニメーション三人の会」を結成するなど、アニメ作りに傾注した。 人気を博したテレビ番組「11PM」ではアニメコーナーの制作を毎週担当。「ひょっこりひょうたん島」「みんなのうた」などのアニメを手がけ、戦後の日本アニメーション界をけん引した。 皮肉を効かせ、ナンセンスで笑わせる作風で、62年にアニメ「人間動物園」がベネチア映画祭でサンマルコ獅子賞を受賞。2011年に旭日小綬章、17年に漫画「クレージーマンガ」で日本漫画家協会賞大賞を受けた。10年から鯖江市まなべの館の名誉館長を務めていた。16年に「久里洋二」からカタカナ表記「クリヨウジ」に改名した。 「『アニメーション』という言葉を唱えたのは、真鍋博と柳原良平と僕でつくった『アニメーション三人の会』。昔は『漫画映画』と言っていた」。2016年、福井新聞のインタビューにこう答えた。 小学2年生の頃、パラパラ漫画を教科書の隅に描いた。本格的にアニメーションを始めたのは、結婚後の28歳の時。機材もなく、撮影の仕方も分からない試行錯誤だった。「僕の作るアート・アニメには言葉がない」。音楽とアイデアだけの世界共通語。ストーリーのあるアニメとは違って、物語の先が分からない。そんな「大人のアニメ」にこだわった。