[特集/なでしこ、飛翔せよ! 01]名良橋晃が見たパリ五輪の勝ち筋
一番輝くメダルを獲得し、新しいストーリーへ
なでしこジャパンは2021年東京五輪、2023年W杯はいずれもベスト8でスウェーデンに敗れています。ここまで勝ち上がると強者ばかりで、一発勝負になるとなにが起こるかわかりません。W杯のスウェーデン戦は1-2の惜敗でしたが、後半にPKのチャンスがありながら生かすことができませんでした。PKは決められませんでしたが、追いつくチャンスがあったのは事実で決して完敗ではありませんでした。 W杯のときのなでしこジャパンは、もっと上にいけるチームでした。アジア大会優勝などを経て、いまはさらにパワーアップしています。どこと対戦しても名前負けすることがなく、決勝トーナメントは接戦ばかりで紙一重のところで勝敗が決まるでしょう。トーナメントは1点の重さが違うので、守備でスキを与えないことが大事です。 五輪は中二日で試合が続き、移動もあります。グループリーグだけをみてもナント→パリ→ナントという移動になります。試合を重ねれば、出場停止やケガ人が出てくるかもしれません。要は、総力戦になってきます。メンバー全員がどれだけ準備できているかが重要で、いつ声がかかってもいけるように各選手が準備しておくこと。これが、メダル獲得につながってきます。 試合ごとのゲームプランは池田太監督を中心にスタッフが考えることになります。いざ試合がはじまると、予定通りに進まないのがサッカーです。想定と違ってきたときに、どれだけピッチで解決できるかも勝敗を分けるポイントになってきます。 そして、最後はやはりメンタルの勝負になってきます。昔から言われる“心・技・体”を研ぎ澄ませて、大会を最後まで戦い抜く。そういった意味では、大舞台の経験が誰よりも豊富な熊谷紗希に期待しています。 唯一、2011年W杯の優勝を知っている選手です。もしかしたら、熊谷紗希の言葉は池田太監督の言葉より説得力があるかもしれません。年齢を考えると、パリ五輪が集大成になるかもしれません。若い選手が堂々とプレイできるようにキャプテンシーを発揮するとともに、熊谷紗希自身にも輝いてほしいです。 なでしこジャパンは2011年W杯で優勝し、一時代を築きました。いまはその時代がどうしてもフォーカスされがちなので、パリ五輪で一番輝いているメダルを獲得し、新しいストーリーへ進んでほしいです。W杯優勝を見てサッカーをはじめた子どもは多いと思います。いまのアンダー世代にもそういう選手がいるかもしれません。同じように、パリ五輪の結果が未来のなでしこジャパンの躍進につながるのは間違いありません。 構成/飯塚健司 ※電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)第295号、7月15日配信の記事より転載
構成/ザ・ワールド編集部