[特集/なでしこ、飛翔せよ! 01]名良橋晃が見たパリ五輪の勝ち筋
谷川はとんでもない選手 左サイドの“鉄板”は北川
それにしても、すごい時代になったなと思います。選出された18名の所属クラブを見ると、ズラッと海外組が並んでいます。長谷川唯(マンチェスター・シティ)、宮澤ひなた(マンチェスター・ユナイテッド)、長野風花(リヴァプール)、浜野まいか(チェルシー)、南萌華(ローマ)、熊谷紗希(ローマ)など……。選出外となった選手にも海外でプレイする選手が多く、各選手が普段から“世界”を感じることができています。 なかでも私が注目しているのは、18歳でメンバー入りした谷川萌々子です。JFAアカデミー福島からバイエルン・ミュンヘンに進み、いまはローン先であるスウェーデンのFCローゼンゴードでプレイしています。2022年U-17W杯で見たときに、とんでもない選手が出てきたなと思った印象が残っています。同大会では4得点をあげてシルバーブーツに輝いています。 谷川萌々子は力強さがあり、キックの精度が高い。前方に仕掛けるダイナミックさがあり、ミドルシュートの精度も高いです。守備力も高く、ボールを奪うことができる。トータルバランスに優れた選手で、いろいろな起用方法が考えられます。長谷川唯、長野風花に谷川萌々子が加わったなら、より攻撃的になります。物怖じしないタイプで、度胸があるなとも感じます。すでにU-17W杯やアジア大会といった国際舞台を経験済みで、臆することもないでしょう。池田太監督はアンダー代表のころから谷川萌々子を見ているので、起用方法を心得ています。出番を楽しみにしています。 同じく18歳の古賀塔子もアンダー代表のころから池田太監督がチェックしていた選手です。この両名に限らず若い選手は“チームのために”と考え過ぎなくていいと思います。日本がはじめて出場した1998年フランスW杯のときは、中田英寿さんが若くして台頭してきた時期でした。高校を卒業したばかりの小野伸二さんもいました。あのときは中山雅史さん、井原正巳さんなどがバランスを取ってくれました。 今回のなでしこジャパンで考えれば、経験&実績ともに豊富な熊谷紗希や山下杏也加といった選手たちがしっかりとバランスを取ってくれると確信しています。谷川萌々子、古賀塔子といった若い選手は、自分のプレイにフォーカスしてほしいです。 私は現役時代にサイドバックだったので、北川ひかるにも注目しています。五輪アジア予選の北朝鮮戦を前に追加でメンバー入りし、左サイドのポジションを確保しました。サイドバック、ウィングバックをできるポリバレントな選手で、左足の精度が抜群に高くてセットプレイのキッカーも務めています。前方に出て自分で得点できるタイプで、3バックだとより前に出ていけます。 なでしこジャパンの右サイドには清水梨紗という絶対的な選手がいます。北川ひかるには左サイドの“鉄板”と言われるぐらいの活躍を期待しています。その名前のごとく、輝いてほしいです。