隆の勝が30歳の誕生日を飾る「いいスタートができた」 初日から5連勝は関取になって初/九州場所
大相撲九州場所5日目(14日、福岡国際センター)東前頭6枚目隆の勝(30)が欧勝馬(27)をはたき込み、自身の誕生日に白星で5連勝を飾った。3大関はそろって白星。新大関大の里(24)は熱海富士(22)を押し出し、連敗を回避して4勝目。豊昇龍(25)は若隆景(29)を小手投げで下し5連勝。琴桜(26)は宇良(32)を押し出して1敗を守った。勝ちっ放しは豊昇龍と平幕隆の勝、阿武剋(24)の3人。 年を重ねても、こうありたいと願う覚悟がみて取れた。平幕隆の勝が、30代初めての取組を白星で飾った。初日から5連勝は、関取(十両以上)になって初めてだ。 「30代を白星で始められて、いいスタートができた」 14日は30歳の誕生日。立ち合いからもろ手で突いて激しく押し込む。回り込んだ欧勝馬に左上手を取られたが、得意の押し相撲に徹して振りほどき、はたき込んだ。関脇経験者で、7月の名古屋場所では横綱照ノ富士との優勝決定戦に臨んだ実力者。15歳で大相撲の門をたたき、人生の半分を土俵で過ごす。 同じ常盤山部屋の元大関貴景勝(現湊川親方)が9月の秋場所限りで引退。同親方は部屋付きとして若い力士を指導しているが、隆の勝はその言葉を自分がいわれているつもりで聞いているという。「向上心を忘れず、上を目指して元気のいい相撲を取りたい」。 部屋ではケーキなども用意されているが、今年は大阪府の知人からてっさ、てっちりなど「ふぐ料理」の一式が届けられた。九州場所では博多の街の専門店に足を運ぶ力士はいるが、部屋関係者によれば「専門の職人に調理されたふぐ料理を部屋で食べることは珍しい」。 ふぐは山口・下関市から福岡県にかけて「ふく」と呼ばれる。江戸時代の安政年間に記された「蒹葭堂雑録(けんかどうざつろく)」には「下関あたりにて、ふぐは福の意義なればとて、祝儀の贈り物に用いて大いに珍重するよし」とあり、縁起物の「福」へとつながったといわれる。 折しも、隆の勝の座右の銘は「笑門来福」。「プレゼントやケーキもうれしいけど、白星が一番」。笑う門に〝ふく〟が来た。(奥村展也)