【毎日書評】「解像度の高い人」にはどんな世界が見えているのか?具体と抽象のピラミッドとは
『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』(権藤 悠 著、SBクリエイティブ)の著者は、経営コンサルタントとして約3000社を担当し、のべ1万人以上のビジネスパーソンを見てきたという人物。そんな経験から、「仕事ができる人」には共通点があることを実感しているのだそうです。 それは、「解像度が高い」という点。「解像度が高い人」は思考が鮮明で、物事の細部までをきれいに明確に見ているというのです。 例えば、営業などであれば、「解像度が高い人」は顧客のことを事細かに捉えています。お客さんは何歳くらいで、普段はどんな生活を送っていて、どんな服を着ているのか。どんな場面で、どんな困りごとを持っていて、そのために普段はどんな競合の製品・サービスを利用しているのか。特定の一人が浮かび上がってくるほどに、「物事が細かく見えている」のが特徴です。(「はじめに」より) また、「ユニークで鋭い洞察を得ている」という側面もあるそう。 本質を突いた「自分なりの気づき」を豊富に持っているため、新しく納得感のある意見や提案をできるということ。そして「物事をわかりやすく伝えられる」ため、相手の理解度に合わせて使うことばや話を調整できるという特徴も。そのため専門的な話であったとしても、相手は容易に理解できるわけです。 同じものを見ていても、解像度が違えば“見ている世界”もまるで違ってきます。つまり、「仕事ができる人」とそうでない人が“見ている世界”は、「解像度の高さ」によって決まってくるのです。(「はじめに」より) だとしたら、ぜひとも「解像度の高い人」を目指したいところ。そこできょうは第2章「どうしたら解像度は高まるのか?」のなかから「どうしたら『解像度が高い人』になれるのか?」に焦点を当ててみたいと思います。
メソッド1 どうしたら「物事が細かく見える」のか?
「解像度の高い人」の1つ目の特徴は、「物事が細かく見えている」状態になること。そのためには、「具体化思考力」を鍛えることが重要なのだそうです。ここでいう具体化とは、「ひとつの事柄や概念を、違うもので分ける」こと。 例として、「日本」を頂点とするピラミッドについて考えてみましょう。 「日本」を「地理」と捉えて具体化していけば、その1つ下の2階層目は、例えば「東日本」「西日本」に2分割されます。 2つ下の3階層目では、「東日本」を細分化して「関東甲信越」「東北」「東海」「北海道」となり、3つ下の4階層目では「関東甲信越」をさらに細分化して「東京都」「埼玉県」「千葉県」「神奈川県」「群馬県」「栃木県」……などとなり、4つ下の5階層目になると「東京都」は「23区」「26市」「5町」「8村」となり、どんどん細分化されていきます。(84~85ページより) つまり「具体化する」とは、ひとつの大きな概念を階層化・細分化していくことを指すわけです。具体化とは、「似たもの同士に違いをつける」ということであり、それがまさしく「物事を細かく見る」ということ。(82ページより)