このままでは怖いマイクロプラスチック 生活の中で対策するヒント
マイボトル・マイバッグを使う
こうした流れに逆らうには、消費者である私たちがプラスチック製品から得ている便利な生活を変えていくことが求められます。スターバックスのプラスチック製ストローの廃止などはその一例です。トークイベントでは、「今から変わる」という気持ちを込め、参加者に次の2つの問いを投げかけ、一緒にアイデアを出してもらいました。 身の回りのプラスチックを減らすために、 (1)あなた自身が取り組める行動にはどんなものがありますか? (2)どんな商品や買い物の仕組みがあればよいと思いますか? 一つ目の問いに対して出てきたアイデアで、最も多かったのは、「ペットボトルなどの使い捨てプラスチック製品を使わずに、マイバッグやマイボトルなどを使うこと」です。私自身、このイベントを機にペットボトルを買わない決心をしましたが、慣れてくると、意外と困ることはないものです。ペットボトルのラベルをはがして水ですすぐ面倒な作業もなくなり、ゴミも減ります。また節約にもなるので、一石二鳥どころか“一石三鳥”にも“四鳥”にもなりそうです。 また、マイクロプラスチックが出ない製品を使う、あるいはマイクロプラスチックの原因となる製品は買わないという声もいくつかありました。化学繊維の衣類を洗濯すると、抜け落ちた繊維の一部は洗濯フィルターでも取りきれず、下水を通じてやがて海へと流れ出てマイクロプラスチックとなります。洗濯の回数を減らしたり、繊維の抜け落ちにくいものを長く着用したりすることで、流れ出る繊維の量を減らすことができます。
プラスチック製品を使わない仕組み
次に、二つ目の問いに対して出てきたアイデアを見てみましょう。 多かったのは、使い捨てのプラスチック製品を使わない「仕組み」についてのアイデアでした。例えば、プラスチック製容器ではなく「マイカップ」にジュースを入れることのできる自動販売機、レジ袋の有料化や撤廃、量り売りシステムの導入などです。 購入者が容器を店に持ち込み必要な量だけを買う量りについては、徳島県上勝町にある「上勝百貨店」をはじめ、すでに日本国内でも実施している事例があります。 製造から運搬などの製品ライフサイクルにおける効率やコストを考慮すると、今はまだ日本では、容器自体を繰り返し使う「詰め替えパック」の購入が主流です。しかし、今回のような消費者の声が増え企業に届けば、やがては社会を変える力になっていくことができるかもしれません。一方で、量り売りをする上では、衛生面の管理も欠かせません。こうしたメリットとデメリットを消費者自身も理解していくことが必要になりそうです。 エコバッグは、もうずいぶん前から耳にしていますが、スーパーなどでもまだまだレジ袋が主流ではないでしょうか。「レジ袋いりません」と客が告げるのではなく、「レジ袋いりますか?」と店員が先に聞いてくれたら嬉しいという意見も参加者から出ていました。 その他に、プラスチックの使用に税金をかけるとか、エコマークのように、より環境に配慮した製品を消費者が選択できるような認証制度をプラスチック製品にも設けるといった社会制度へのアイデアもありました。水産物のMSC認証・ASC認証、パーム油製品のRSPO認証(※)のように、環境配慮製品の“見える化”は今後広がっていくのかもしれません。