習近平の「最悪の一手」を金融市場が警戒しはじめた…!世界から総スカンで起こる「大暴走」、その危険すぎるシナリオ
世界から総スカンをうける習近平
習近平国家主席は5月6日、訪問先のパリでフランスのマクロン大統領と欧州連合(EU)のフォンデアライエン委員長と会談したが、欧州側から突きつけられたのは「公正な貿易を行え」との要求だった。 【写真】これはヤバすぎる…中国で「100年に一度の洪水」甚大な被害のようす 国内経済が低迷する中、中国の昨年の輸出額は3兆3800億ドル(約530兆円)と15年連続で世界第1位の座を維持し続けている。これに国際社会が猛反発しているのだが、それは中国の「過剰生産能力」を問題視するようになっているからだ。 重要な取引相手だった欧州からも、厳しい要求を突きつけられるようになった中国は、これまでのように輸出頼みの成長は通用しなくなっている。 ウクライナ侵攻で西側諸国との関係が途絶えたロシアに対する輸出は好調だったが、米国の対ロ制裁強化の影響で3月と4月の対ロシア輸出(人民元建て)は前年比10%以上の減少となっている。 窮地に追い込まれつつある中国に打つ手はあるのか。不穏な噂が金融市場でささやかれるようになっている。
「人民元ショック」を想起させる噂が広がっている…
「中国は2015年のように人民元を大幅に引き下げる(10~20%)のではないか」(4月29日付ブル-ムバーグ)。 実際、中国人民銀行は2015年8月11日に突如、人民元を切り下げて元建て資産が大きなダメージを受けた。市場は、中国の景気刺激効果を狙って行われたとして、近隣窮乏化政策と受け止めた。「人民元ショック」として記憶されるこの時の切り下げは最悪の一手だった。 今回の切り下げの噂は、あくまで金融市場の少数派の観測に過ぎないが、中国の景気刺激策に失望した金融市場には「効果のある一手」として期待する向きもある。 「中国が国際市場でゴールドや原油を急ピッチに買い上げている」というのも、この噂が広がる原因だった。また、切り下げは「台湾侵攻の準備だ」との見方も出ている(5月2日付ニューズウイーク日本版)。
「人民元切り下げ」は最悪の一手
しかし、通貨切り下げにより、中国の輸出は伸びるだろうが、米国を始め西側諸国が猛反発するのは必至だ。 さらに、通貨切り下げによる元建て資産の目減りを嫌気して、中国からの資本流出が一気に加速し、さらなる元安圧力が強まる危険性もある。 世界の為替市場が極度に不安定化し、中国発の世界金融危機が起きる可能性も排除できないだろう。 こうしたうわさが広がりやすいのは、中国経済は低迷しており、それに対して政府が抜本的な対策を打てていないからだ。 しかし、習近平はどこ吹く風で、さらに世界を不安に陥れる一手に踏み出そうとしている。 その中身については、後編記事「習近平が「2つの核」に手を染める「絶望シナリオ」が急浮上…! 「経済の核オプション」と「本物の核オプション」への高まる不安と最悪の展開」でじっくりとお伝えしていこう。
藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)