ウクライナの「1カ月でSu-25攻撃機を7機撃墜」は水増しの疑い
ウクライナ軍の第110独立機械化旅団は1カ月足らずでロシア空軍のスホーイSu-25攻撃機を7機撃墜し、ロシアの航空戦力に壊滅的な打撃を与え、アウジーウカ攻防戦で喫した敗北にある程度の報復を果たした──のかもしれない。 だが、もっと可能性が高いのは、第110旅団は1カ月足らずでロシア空軍のSu-25をせいぜい2機撃墜した程度で、ロシアの航空戦力に手痛い打撃を与えたものの決定的な打撃とは言えず、もう少し控えめな報復だった、というものだ。 第110旅団、ウクライナ国防省、さらにはウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領までもが、第110旅団の防空部隊によって5月4日、5月11日、5月13日、5月18日、5月22日、5月23日、5月25日に計7機のSu-25が撃墜されたと発表している。 問題は、撃墜の証拠である可能性のあるものが今のところ2つしかないことだ。5月13日付けの、地上で何かが燃えているらしい画質の粗い写真と、5月26日付けの、かなり遠方から撮影され、低空飛行している軍用機にミサイルが命中したところかもしれない動画である。このほかに第110旅団が視覚的な「証拠」として提示しているものがもうひとつあるが、これはビデオゲームの映像だった。 だからといって、ロシアは今月、多くのSu-25を失わなかったと断定することもできない。ロシアはウクライナに対する戦争を拡大してから2年3カ月の間に、Su-25を29機失ったことが確認されていて、その数がさらに増えた可能性もなくはない。しかし、現時点では新たな損失は確認できていないのだ。 第110旅団は戦果を水増ししているのかもしれないが、そうしたくなる気持ちはわからなくもない。第110旅団はウクライナ東部ドネツク州の最前線の都市アウジーウカを1年以上にわたり守備していた部隊であり、過酷な戦争を経験したため報いにはやっているとも想像されるからだ。 ロシア軍による爆撃が続くなか、第110旅団の2000人ほどの将兵は廃墟に身を潜め、ロシア軍の攻撃を待ち構えていた。果たして昨年10月、総勢3万人をくだらない数個旅団規模のロシア軍が、複数の方向から攻撃を仕掛けてきた。