老後の希望を失いました…年金月27万円のはずが、64歳夫の急逝で〈遺族年金〉を足しても収入激減。遺された妻の絶望【FPの助言】
知っておきたい「遺族年金」のキホン
Aさんは開口一番、「夫を失ったいま、このままでは楽しみもなく、お金の余裕もありません。老後の希望を失いました」と筆者に助けを求めます。 遺族年金の仕組みもよくわかっていないというAさんに、筆者はまず、遺族年金について下記のように説明を行いました。 1.遺族基礎年金の受給額と受給対象者 遺族基礎年金の受給額は、67歳以下(昭和31年4月2日以後生まれ)の場合79万5,000円となり、もし子どもがいればその分加算されます。1人目と2人目の子の加算額は22万8,700円、3人目以降は各7万6,200円です。 ただし、遺族基礎年金を受給できるのは、18歳(障害等級1・2級の場合は20歳)になる年度までの子どもがいる配偶者(または子ども)です。そのため、18歳未満の子がいない配偶者は受け取ることができません。 2.遺族厚生年金の受給要件 次の1から5のいずれかの要件を満たしている場合、遺族に遺族厚生年金が支給されます。 1.厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき 2.厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき 3.1級・2級の障害厚生(共済)年金の受給者が死亡したとき 4.老齢厚生年金の受給権者が死亡したとき 5.老齢厚生年金の受給資格者が死亡したとき 3.遺族厚生年金の受給対象者 遺族厚生年金は、死亡した方に生計を維持されていた下記の遺族のうち、もっとも優先順位の高い人が受け取ることができます。なお、遺族厚生年金は遺族基礎年金とあわせて受給できます。 1.子のいる配偶者 2.子(18歳になった年度の3月31日まで、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の人。) 3.子のいない配偶者 4.父母 5.孫(18歳になった年度の3月31日まで、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の人。) 6.祖父母 遺族厚生年金の年金額は、死亡した人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の3/4です。 なお、上記受給要件の1、2および3にもとづく遺族厚生年金の場合、報酬比例部分の計算において、厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算を行います。 また、65歳以上で老齢厚生(退職共済)年金を受け取る権利がある人が、配偶者の死亡により遺族厚生年金を受け取るときは、「死亡した人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の3/4」と「死亡した人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の1/2+自身の老齢厚生(退職共済)年金の1/2」を比較し、どちらか高いほうが遺族厚生年金額となります。
【関連記事】
- 年金〈月20万円〉もらえるはずが…65歳夫の急逝で受給額が激減。「もう、生きていけない」憔悴する59歳妻を救った、年金事務所職員のひと言【FPが解説】
- 夫婦で年金32万円だったが…夫を亡くした70代の元会社員妻、年金事務所窓口の「遺族年金への回答」に思わず涙「あんなに働いてきたのに」
- 「遺族年金がゼロって、まさかそんな…」67歳年上妻の急逝を見送った会社員夫、年収193万円ダウンにうなだれるワケ【CFPが助言】
- 年金月28万円だった元共働き夫婦。67歳妻の死後、72歳夫が腰を抜かした「衝撃の遺族年金額」…よくある誤解“年金の4分の3もらえる”【FPの助言】
- 年金の繰下げ受給なんてしなきゃよかった…年金「月28万円」を受け取る72歳・男性、自らの選択を後悔したワケ【CFPが解説】