田幸和歌子の「2024年 年間ベストドラマTOP10」 個からチームへ、女性の作り手たちの力
「チーム力」と言えば、説明不要なのが、野木亜紀子脚本×塚原あゆ子演出×新井順子プロデューサーの『海に眠るダイヤモンド』。内田ゆき制作統括×中島由貴チーフ演出という『アシガール』(NHK総合)、『スカーレット』(NHK総合)チーム×大石静脚本による大河ドラマ『光る君へ』だ。制作陣のメインを女性が占める両作が、ここまでの壮大なスケールと、隅々まで行き届いた細やかかつ濃厚な人間模様を両立する秀作になるとは、新時代を感じずにいられない。 女性の力を感じる作品と言えば『虎に翼』は2024年ドラマを象徴する作品だったし、現代女性の困窮と生殖医療ビジネスを描いた桐野夏生原作の『燕は戻ってこない』は、『らんまん』(NHK総合)脚本家・長田育恵が『らんまん』で一緒に仕事をしたプロデューサー・板垣麻衣子の企画と、そこに込めた思いに共鳴して生まれた作品だった。 『ライオンの隠れ家』が秀逸だったのは、柳楽優弥、坂東龍汰らの熱演はもちろん、サスペンス要素を縦軸にしつつ、主眼が社会問題や多様性を描く「ヒューマンドラマ」に置かれていたこと。それを成しえたのは、ベテラン脚本家・徳尾浩司×新人・一戸慶乃による登場人物の「気持ち」優先で展開する共同脚本であり、松本友香プロデューサーのスタッフメイキングやコントロール力の賜物と言えるだろう。 『アンメット』『海に眠るダイヤモンド』において役者発信でリアリティを作るクリエイティブを見せた杉咲花、『春になったら』の岡光寛子P×松本佳奈監督、『透明なゆりかご』(NHK総合)の原作・脚本・演出チームを引き継いだ秀作『お別れホスピタル』を手掛けた小松昌代制作統括×家冨未央プロデューサーなど、女性の活躍が目覚ましい2024年でもあった。
田幸和歌子