【独自】五輪始球式バッテリー、思い出の「あづま」で激突へ 高校野球福島大会
福島県福島市のあづま球場で2021年に行われた東京五輪野球の開幕戦の始球式でバッテリーを組んだ2人が、高校3年生として迎える最後の夏に甲子園を懸けて同じ舞台で激突する。相馬高のエース宝佑真さん(17)と、原町高の捕手小泉直大(なお)さん(17)。12日に開幕する全国高校野球選手権福島大会の1回戦で、あづま球場で対戦する2人は、あのときと同じ全力プレーを誓う。 「まさか当たるとは思ってもいなかった。野球の神様のメッセージかも」。宝さんは組み合わせ抽選会の結果に驚いた。東京五輪当時、宝さんは中村一中(相馬市)、小泉さんは尚英中(新地町)の3年生で、ともに相双地区の中学野球選抜メンバー。東日本大震災からの復興への歩みの象徴として始球式に選ばれ、日本代表選手を前に堂々とした姿を披露した。 始球式の後、観戦した開幕戦に宝さんは心を動かされた。日の丸を背負った選手の姿を間近に見て「もっと力をつけなければならない」。直球に磨きをかけ、力をつけると、相馬高の不動のエースに。14日に控える原町高との初戦を前に「これまでも対戦したことはあるが、(小泉さんは)直球に強い、一発のあるバッター。うまくかわして抑えたい」と意気込む。 「え? まさか」。原町高主将の小泉さんは、初戦で相馬高との同地区対決に驚いた。だが、こうも思った。「運命かもしれないな」 相手はシード校だが、小泉さんには同じ目標に向かう仲間たちがいる。部員不足により、原町高は単独チームとしての福島大会出場が危ぶまれたが、1年生6人が入部し、部員は13人となった。「入部してくれた後輩、切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間には感謝しかない」。だからこそ、小泉さんは力を込める。「少しでも上の景色を見せてあげたい」。打倒私学、そして昨年果たせなかった8強以上という目標を胸に初戦に臨む。
福島民友新聞