充実装備の「おしゃれ」コンパクトSUV 実用性重視の新型「インスター」登場 ヒョンデ初、欧州向け小型EV
若い世代と50代以上のユーザーがターゲット
韓国のヒョンデは10月3日、新型EV「インスター(Inster)」を欧州で発表した。航続距離350kmの4人乗りSUVで、右ハンドルの英国価格は2万3495ポンド(約450万円)から。 【写真】小さいけど実用性はワンクラス上! 欧州向け小型EV【ヒョンデ・インスターを写真で見る】 (7枚) ボディサイズは全長3.8m、全幅1.6m、全高1.6m。韓国国内で販売されているガソリンエンジン車「キャスパー」をベースにしており、駆動用バッテリーを載せるためにプラットフォームが230mm延長された。 ヒョンデの関係者は、コンパクトなサイズでありながら、パッケージングを工夫することで実用性を高めたと述べている。例えば、ホイールベースはBセグメントのヒョンデi20とほぼ同じで、各シートは完全にフラットに折りたたむことができ、後部座席もスライドとリクライニングが可能だ。 欧州では当初2種類のモデルが用意される。エントリーモデルには最高出力97psのフロントモーターを搭載し、0-100km/h加速は11.7秒、最高速度は140km/hとなる。容量42kWhのバッテリーにより、航続距離は300kmと謳われている。 上位モデルの「ロングレンジ」は最高出力115ps、容量49kWhにパワーアップされ、航続距離は350km、最高速度150km/h、0-100km/h加速は10.6秒となる。 いずれもバッテリーの正極材にはニッケル・マンガン・コバルト(NMC)を採用。全車、ヒートポンプと最大85kW(DC)の充電機能が標準装備される。 こうした仕様は、欧州の同クラスのライバル車とほぼ同等だが、インスターは装備の充実さとコネクティビティを強みとする。 10.25インチのインストゥルメント・パネルとインフォテインメント・タッチスクリーンが標準装備されるほか、スマートフォンを「キー」として使用してロック解除や始動ができる。 さらに、360度パーキングカメラ、アダプティブ・クルーズ・コントロール、ヒョンデ独自のブラインドスポットモニターなど、先進運転支援システム(ADAS)一式も搭載されている。ブランドスポットモニターは、方向指示器を使用する際にインストゥルメント・パネル上に側面後方のカメラ映像を映し出すものだ。 欧州では来春までに納車開始予定だ。 ヒョンデ・モーター・ヨーロッパ(欧州部門)の商品企画マネージャー、パオロ・グネロ氏は、「アーリーアダプターだけでなく、マスマーケット向けにも電動化を開始できると考えています」と語った。 グネロ氏は、インスターで主なターゲットにしているのは2つの新しいタイプの顧客だと説明する。初めて新車を購入するような「若い世代」と、簡単な用事を済ませるためのセカンドカーが欲しい「エンプティネスター(50代を中心とする、子供が家を離れた)世代」だ。 グネロ氏はEVに対する顧客行動の変化を指摘し、インスターは従来のサイズに縛られずに販売できるだろうと言う。 「彼ら(顧客)は『これは全長3.8mのクルマだから、Aセグメントだ』という風には言いません。彼らはサイズに関係なく、航続距離によってクルマをセグメント化しています。彼らにとって、航続距離350kmのクルマは、サイズに関係なく、別の350kmのクルマと同等なのです」
執筆 AUTOCAR JAPAN編集部