ジェシー・リバモア、ジョージ・ソロス…歴史に名を残した投資家たちが“確実に勝つ”ために心がけていたこと【株式投資の金言】
投資の情報が溢れる今、歴史に名を残した人たちの「金言」から投資の本質を知ることも大切です。本記事では『株式投資 100の金言』(さくら舎)から一部抜粋し、著者の〈桑原晃弥氏〉が、ジェシー・リバモア、ジョージ・ソロスなどの金言を基に、彼らが投資で大勝負をする前にしていたことをご紹介します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
買い米を一度に買うは無分別。二度に買うべし二度に売るべし
『三猿金泉秘録(さんえんきんせんひろく)』によると、相場に「絶対」はなく、用心には用心を重ね、「ここが売りだ」「ここが買いだ」と思ったとしても、一度にすべてのお金を投じるのではなく、二度に分割して売買した方がいいとあります。相場師・牛田権三郎の教えです。 なぜなら「ここが買いだ」と思い、資金を投じたところ、買ってから下がることもあるだけに、まずは試して流れを確認、そのうえで二度目の売り買いを行え、という意味です。 これと似たようなやり方をしていたのがジェシー・リバモアです。株式市場を語るうえで1929年の大恐慌はすべての人の記憶に残るほどの出来事でしたが、この大恐慌を引き起こし、株の大暴落を招いた張本人とも目されたことでリバモアは「ウォール街伝説の投機王」と呼ばれるようになります。 リバモアは巨額の資金を動かす相場師でしたが、次のような一定のルールがありました。「最初は小口の売りから入り、まず探りを入れ、自分の予想が正しいことを確認します。そのうえで自分の予想に一点の曇りもないと見るや、怒涛の売りに出ます」大恐慌の時もリバモアは自分の読みに相当の自信を持ってはいましたが、一気に大勝負に出ることはありませんでした。 相場に「絶対」がない以上、自信があっても、まずは試すことを怠らないこと、それが大きな利益を生む秘訣です。
試し玉を活用すべし
相場の行方が不透明な時や、変化を感じ取りながらも確信が持てない時など、新たな動きが生じたことを知るために行うのが「試し玉」です。 「世界三大投資家」の1人ジョージ・ソロスの特徴は、金融市場の上昇・下降プロセスを見つけ出すために金融市場を観察し、トレンドが変化する転換点を見抜いて大きな賭けに出ることで大きな利益を手にするところにあります。 とはいえ、ソロスは単に市場を見るのではなく、「仮説を立て、市場で試す」ことで転換点を見つけていました。 ある時、ソロスは部下にこんな指示を出します。「3億ドルの債券を買いたいから、5,000万ドル相当をまず売ってくれ」「買いたい」のになぜ「売る」のか疑問に思った部下が理由を尋ねたところ、ソロスの答えは「まず市場の感触をつかみたい。もし簡単に売れるようなら、簡単にこれらの債券がさばけるようなら、もっと買いを入れたい。だが、売りに苦労するようなら、買い手に回るべきかどうかは疑問だ」というものでした。 ソロスは分析に長けた投資家でしたが、市場は「論理」だけで動くのではなく、非論理的な動きをすることもよく知っていました。仮説を立ててまず試す。ソロスは一発勝負よりは「試し玉」によって己の正しさを確信してから初めて大きな勝負に出ていました。 桑原晃弥 経済・経営ジャーナリスト
桑原 晃弥