「血便」の症状が表れたときの深刻さとは? 医師が原因も解説
血便が起きる原因にはさまざまなものがあります。腸などから出血している可能性も考えられますし、痔が原因ということも。 血便が起きる原因と、それぞれのリスク、すぐ治療を行った方がいいケースなどについて、「高田馬場駅前おだぎ内視鏡・消化器内科」の小田木先生に教えていただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
血便の症状が現れる原因は?
編集部: 血便が現れる疾患には、どのようなものが考えられるのでしょうか? 小田木先生: 血便といっても出血した場所や出血した量により、さまざまな種類があります。よく血便と混同されやすいものに「下血」があります。 下血とは、胃や十二指腸などの上部消化管から出血すること。一方、大腸や肛門といった下部消化管から出血することを「血便」と言います。 編集部: どうやって見分けるのですか? 小田木先生: たとえば、黒色便(タール便)が出る場合には胃や十二指腸などで出血が起きていることが考えられます。 なぜ血液の色が黒ずんでいるかというと、胃で分泌される胃酸と反応するため。胃、十二指腸、小腸の上部は胃酸の影響を受けて酸化が進みやすいので、便に混ざる血液の色が黒ずんで見えるのです。 編集部: この場合にはどのような疾患が考えられますか? 小田木先生: たとえば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などが考えられます。そのほか、胃がんや食道静脈瘤破裂などの可能性もあります。 編集部: 一方、血便にはどのような種類があるのでしょうか? 小田木先生: タール便ほどではないけれど、黒ずんだ血便が出ることがあります。この場合には大腸の奥の方からの出血が疑われ、大腸憩室出血や大腸炎などが考えられます。ただし、S状結腸からの憩室出血が起きると鮮血が出る場合もあるので、注意が必要です。 編集部: そのほかには? 小田木先生: いちごジャムみたいな粘液が便に混ざった粘血便が出ることもあります。この場合には、赤痢アメーバなどの感染症や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患が考えられます。 そのほか、真っ赤な鮮血が出た場合には肛門の近くで出血が起きていることが考えられ、もっとも頻度が高いのは痔出血です。