中国産ガリウム輸入に復調の兆し。「化合物入着にめど」の声も
中国が輸出規制に踏み切って以降、停滞していた中国産ガリウムの輸入に復調の兆しが見られる。今年に入って国内にトン単位のガリウムが入着したことがわかったほか、商社からは「今月中旬に化合物が入着するめどが立った。規制以降、当社として初めて輸入できる品物となる」との話が出てきた。先行き不透明な状況から前進したことを受け、市場では荷動き正常化に向けた期待感が高まっている。 中国は昨年8月から半導体などで使用されるレアメタルのガリウムとゲルマニウム、その関連品目に対して輸出規制を実施。当初は適正な輸出許可手続きを行えば最短45日で輸出されると見通されていた。しかしガリウムなどレアメタルを扱う半導体関連商社ウイング(東京都港区)によると、昨年の日本の入着量は試作で使用する程度の少量にとどまっていた。 中国から荷が緩やかに動き始めたことで、対日価格はピークアウトした。輸出規制が始まって入着時期が不透明だった昨年9月ごろにはキロ当たり550ドル程度だったが、足元では400ドル台まで値を戻している。ただ規制前と比較すると高値圏ではある。 中国は世界のガリウム生産量の約9割を占める。半年以上の長期にわたって主要産出国からの供給が機能不全に陥ったことで、国内ではサプライチェーンの脆弱性が課題となった。中国産と比較し大幅な高値を付けることで欧州から調達することもできたとされるが、中国の輸出を待つ動きが中心となっていたとみられる。