【日本市況】株式が続伸、米金利上昇で金融株が軒並み高-円安は一服
(ブルームバーグ): 29日の日本市場では株式が続伸。米国の長期金利上昇を受けて銀行などの金融株が軒並み買われ、指数の上げをけん引した。前日に対ドルで3カ月ぶりの安値を付けた円は反発し、債券は超長期債が上昇した。
28日の米10年国債利回りは一時4.3%付近まで上昇。同日実施された2年債と5年債の入札は低調だった。米株式市場では金利上昇を好感して金融株が買われた。
衆議院選挙で自民、公明の与党が過半数を維持できず、政局不安から前日に1ドル=153円88銭まで進んだ円安は一服。三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、与党の過半数割れで緩和的な金融環境が続くとの見方がいったん消化されつつあると指摘した。
加藤勝信財務相は29日午前の閣議後記者会見で、為替動向について「緊張感をさらに高めて注視していく」と述べた。為替相場は「ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要だ」との認識もあらためて示した。
株式
株式相場は続伸。米長期金利の上昇を材料に銀行や保険株が買われ、原子力発電所の再稼働を好感し、電力株も高くなった。
TOPIX業種別指数では銀行、証券・商品先物取引、その他金融が上昇率1-3位を占めた。銀行はTOPIXの上昇寄与度でも1位。電気・ガスは上昇率で6位だった。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは「米国市場の強気なセンチメントに支えられ、選挙後の買い傾向が続いている」と指摘。電力株については、衆院選の結果を受け原発政策に対する不透明感があるものの、「女川原発の再稼働がニュースとなり、セクターにポジティブ」との見方を示した。
為替
円は一時1ドル=152円台後半に上昇。国内の政局不安を背景にした売りが一巡し、いったん円を買い戻す動きとなった。
ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは、ドル・円相場は200日移動平均線を抜けてあく抜け感が出ていると指摘。155円までのドル上昇はあり得るものの、その水準では円高圧力が強まりそうだと話した。衆院選結果を受けて「野党がまとまって政権を取る感じではない。方向性も見えていない状況で、これ以上何かを織り込んで円を売ったり買ったりはできず、動向を見守る動き」と言う。