年金は「払った分だけ受け取れる」ほうがお得? 年収「458万円」の会社員が、平均寿命まで生きる場合で試算
年金の制度や商品を運営する財政方式には「積立方式」と「賦課方式」の2つがあり、日本の公的年金制度は賦課方式です。 本記事では、これらの違いを説明し、賦課方式の例として、納める保険料の総額と受け取れるであろう年金の総額を、国民年金のみ加入していた場合と厚生年金保険にも加入していた場合の2パターンで概算します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
積立方式とは
積立方式は、積立貯蓄や積立投資と同じイメージで、自分が納めた保険料や掛け金が年金資産の原資となり、これを将来自分が受け取る方式です。個人年金など民間保険の商品やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの制度がこれに該当します。 運用収益を期待できる反面、物価や賃金の上昇による年金の実質的な価値の目減り、運用の失敗や経営破綻による年金の減額があり得ます(年金の実質的な価値とは、額そのものではなく、物価や賃金水準に応じた経済的な価値を意味します)。
賦課方式とは
賦課方式は、被保険者(加入者)が納める保険料を、その時点の受給者に給付する方式です。老齢年金でいえば、働いている現役世代から働けなくなった年金受給世代への「仕送り」であり、「社会的扶養(世代間での支え合い)」の仕組みです。 現役世代の保険料を年金受給世代に給付するため、物価や賃金水準の変化に対応しやすく、年金の実質的な価値が目減りしにくい長所がある反面、現役世代と年金受給世代の人口比率の変化が保険料や年金に影響しやすい短所もあります。 日本の公的年金(国民年金、厚生年金保険)制度は、アメリカ、ドイツなどと同様、年金の実質的な価値を維持しやすい賦課方式で運営されています。
「国民年金40年納付、65歳から平均寿命まで年金受給」の収支概算
現役時代の全期間が自営業で、国民年金保険料を20歳から40年間納め、老齢基礎年金を65歳から平均寿命まで受け取る想定で、納める保険料の総額と受け取れるであろう年金の総額を概算します。 単純化のため、国民年金保険料は2024年度の月額1万6980円を、また老齢基礎年金額は2024年度の満額である月額6万8000円(年額81万6000円)を用います(税、社会保険料は考慮しません)。 年金は65歳で受給開始するものとし、受給年数は、平均寿命が男性81.09歳、女性87.14歳ですので、男性は81歳到達直前までの16年間、女性は87歳到達直前までの22年間と仮定しました。 納める保険料の総額=月額1万6980円×12ヶ月×40年=815万400円 受け取れるであろう年金の総額(男性)=年額81万6000円×16年=1305万6000円 受け取れるであろう年金の総額(女性)=年額81万6000円×22年=1795万2000円 基礎年金給付の半分は国が負担しています。老後の防貧のために「半分は国が出してくれる」お得な終身年金です。