パブリッシャー にとって2023年第4四半期は「最低」の時期に
記事のポイント 2023年第4四半期に関して、パブリッシャーは「全体的に最低」と共通認識を持ち、広告収入が伝統的に多いはずの時期にもかかわらず、利益が期待に達していない状況。 ワールド・オブ・グッド・ブランズのCEOは、2023年は全般的に低調で、期待された4Q大逆転は見られず、一定のリズムが続いているとコメント。 ただし一部では広告収入の増収を見込む声もあり、特定のカテゴリーが好調で、年末までの増収ペースであることを説明する幹部も。 第4四半期がスタートして1カ月余り、パブリッシャーが期待していたほど利益を得られないことがすでに判明しつつある。広告収入に関しては、伝統的に最も実入りが多い四半期であるだけに、これは厳しい現実と言える。 2023年第4四半期に関するパブリッシャーの共通認識は「全体的に最低」だ。これは、あるメディア幹部が不満を吐き出すため、匿名を条件に語った言葉だ。 DIGIDAYが今回取材した5人のパブリッシャー関係者によれば、その結果、またしても四半期内での販売が極めて重要になり、2023年最後の3カ月、可能な限り多くの広告ディールを獲得するため、猛ダッシュしなければならなくなっているという。短時間で切り替わるプログラマティックスポット広告やギフトガイドのスポンサーシップは第4四半期の広告販売を締めくくる中心的な存在だが、2023年が終われば、こうしたファネル下部のキャンペーンも終わりにできるというのがパブリッシャー関係者の希望だ。 あるメディア幹部は10月下旬、「未来を見通す力が年々衰えているように感じる。だから、今期もまだ売り続けるつもりだ。取引はまだ続いている」とDIGIDAYに語った。
「第4四半期は誰にとってもチャレンジ」
2人目のメディア幹部によれば、従来、第4四半期のインベントリは、広告主やエージェンシーとの直接取引によって大部分が売り切れていたという。ところが2023年は、こちらも直接取引ではあるものの、プログラマティックギャランティード(PG)取引が増加し、販売チームが駆け込みでキャンペーンを量産する余地が生まれている。 ハンカー(Hunker)、ウェル・プラス・グッド(Well+Good)などを発行するワールド・オブ・グッド・ブランズ(World of Good Brands)のCEO、リンジー・アブラモ氏は、「2023年は全般的に低調だ。2023年の前半はこの第4四半期について、過去の第4四半期に見られた(ような)大逆転を誰もが期待していたと思う」と話す。ところが、今年の第4四半期は、2023年全体と「同じ一定したリズム」が続いている。「決して急降下したわけではないが、期待とは裏腹に、過去に見た(ような)急浮上はなかった」。 1人目のメディア幹部も、第4四半期の急浮上が見られないことに同意し、「2023年前半の落ち込みを第3四半期と第4四半期ですべて取り戻すことはできそうもない」と述べている。また、2023年は広告収入が(未公表の金額で)減少する見込みだが、2024年の広告収入を押し上げてくれそうな分野はまだあると考えている。少なくとも「ありがたいことに、バイス(Vice)やバズフィード(BuzzFeed)のような状況にはない」。 デイリー・アップサイド(Daily Upside)の創業者、パトリック・トラウスデール氏は、積極的な販売に関しては、少なくとも氷は解けつつあると述べている。「ここ1カ月、クライアントの反応はかなり良くなっている。2~3カ月前は、会話を始めるため、相当な数(のメッセージ)を送信していた。今は会話を受け入れてくれるクライアントがかなり増えている」 一方、デジタルスポーツパブリッシャー、オーバータイム(Overtime)の最高売上責任者、リッチ・カラッチ氏によれば、「第4四半期は誰にとってもチャレンジ」という事実と無縁ではないものの、2023年は前年比で増収のペースだという。カラッチ氏はどの程度の増収を見込んでいるかについて明言を避けたが、景気後退の恐怖のなかでも好調を維持している広告カテゴリーがあり、売上増加を後押ししてくれていると説明した。