テスラ・モデル3 詳細データテスト 静粛性と質感は向上 やはり硬めの乗り心地 使い勝手はやや後退
走り ★★★★★★★★★☆
モデル3ロングレンジほどイージーにパフォーマンスを発揮できるクルマはめったにないし、おもちゃのような見た目ながら強烈な性能を秘めている。テスト車の0-97km/h加速は4.4秒で、2022年にテストした7万2000ポンド(約1361万円)以上するBMW i4 M50のコンマ3秒遅れに過ぎない。 4万9900ポンド(約943万円)のテスラは、直線加速性能で見ればバーゲン価格だ。追い越し加速については64-97km/hが1.7秒で、やや濡れた路面で計測したi4 M50の2.3秒を凌ぐ結果となった。 改良版モデル3は、たとえスロットルペダルを床まで踏み込んでも、ホイールスピンしたりパニックのようにトラクションコントロールが介入したりしながら突進していくことはない。加速はスムースで、トラクションはおおむねみごとだ。コーナーを加速しながら脱出するのも直観的で、前後モーターは1846kgの車体を悠々と走らせる。BMWの2284kgに比べて軽々といった感触だ。 ブレーキは、また話が異なってくる。停止距離は特別なものではないが、曖昧なペダルフィールが問題となり、この速いクルマに見合った自信を得るをことができない。おそらくこれは、4WDモデル特有の欠点だ。後輪駆動モデルのペダルフィールはもっといい。 明らかに欠けているのは、精巧な回生ブレーキの制御切り替えだ。それを備えるほかのEVでは、飛ばしたときにはクルマとの一体感があり、穏やかに走ればエネルギー効率を高めることができる。モデル3もそうあるべきだ。とはいえ、唯一のワンペダルモードはうまく調整されていて、ほぼ摩擦ブレーキを使わずに走り切ることができる。
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
■インフォテインメント 2017年当時、15.4インチのディスプレイはおかしなくらい大きく見えたが、いまではそこまで不自然なものとは思えなくなった。 最新型は枠が細くなってよりエレガントな見た目になり、ディスプレイは明るくなった。コンピューターもアップグレードし、システムのレスポンスはきわめていい。競合車のシステムと違って、2度タップしたり、機能やメニューへのアクセスに待ち時間があったりはしない。 全体的に、レイアウトはロジカルでわかりやすい。これは、ワイパーから空調まで、ほとんどの操作系がディスプレイに統合されていることを考えれば、ありがたい話だ。 Apple CarPlayやAndroid Autoはあいかわらず非搭載だが、SpotifyやApple Musicといったアプリは標準装備。ドライバーをモニターするカメラでZoomを使うこともできる。 左右フロントシートの間には、後席からアクセスできる8.0インチのタッチ画面も追加。空調やマルチメディアの操作が可能だ。さらに、65WのUSB-Cポートが2口備わり、スマートフォンやラップトップの急速充電に対応する。 ■燈火類 2024年モデルで、LEDマトリックス機能付きのアダプティブヘッドライトが搭載された。 ■ステアリングとペダル ペダル配置は良好。ステアリングホイールは胸元までしっかり引きつけられる。その点で不満はない。