【データで裏付け】国際舞台で出力上がった侍ジャパン・才木浩人、150キロ超の直球からフォークのコンビネーションで無失点投球
◇データで裏付け 専門家が分析 国際大会初舞台とは到底思えない投げっぷりだった。侍ジャパンの先発の一角、才木浩人投手(26)=阪神=が16日に完全アウェーの台湾戦で5イニング2/3を投げ無失点の侍デビュー。1次リーグ突破に貢献した。次回登板は、東京ドームに場所を移す22日の2次リーグ・ベネズエラ戦が最有力。成長著しい虎の右腕をデータで解析した。 ◆侍ジャパン・高橋宏斗、ライデル・マルティネスとじゃれあう【写真】
1次リーグのB組を5戦全勝で突破した侍ジャパン。NPBを代表する先発陣の中でも輝きを放ったのが才木です。
16日の台湾戦で先発すると、6回途中無失点の好投。チームの勝利に貢献しました。中日のエース・高橋宏も慣れないマウンドで失点を喫するなど先発陣全体で苦しむ中、才木は唯一の無失点投球を披露。2023年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)壮行試合で、大谷翔平に片膝をつきながら特大の本塁打を浴びた記憶も新しいですが、そこから進化を遂げ、新たな侍ジャパンの一員として頼もしい姿を見せています。
台湾戦の才木の投球で目立ったのが、150キロ台を連発するストレート。平均球速は150・3キロで、日本の先発陣の中でも高橋宏に次ぐ球速でした(表1)。レギュラーシーズンの平均球速は140キロ台後半(表2)のため、この国際舞台では通常よりも出力が上がっていたことがうかがえます。
球種別の投球割合をみても、レギュラーシーズンと比較してストレートの投球割合が高く(表3、4)、真っすぐで押す場面が多くありました。一方で決め球としてのフォークも有効で球種別では最多の奪三振3を記録。150キロ超のストレートで押し込み、2ストライクからフォークで仕留める。まるでクローザーのような投球で台湾打線を料理しました。
東京ドームに駒を進めたのはB組2位の台湾に加え、A組の米国、ベネズエラ。才木の次戦登板は2次リーグのベネズエラ戦が見込まれますが、少し不安なデータもあります。NPBのデータを見ると、才木は外国人選手との対戦成績はあまり良好ではなく、今季は被打率2割8分2厘という数字が残っています(表5)。
特にストレートを打たれている傾向があり(表6)、ベネズエラの強打者を相手にどう立ち向かうかは大きな見どころとなります。レギュラーシーズン以上に出力を上げてストレートで力勝負を挑むか、スライダーやフォークを織り交ぜて大人の投球をしていくのか。バッテリーの選択に注目です。 (データスタジアム社アナリスト・佐々木浩哉)
中日スポーツ