会社の会計の超キホン…「黒字なのに倒産する企業」「債務超過でも倒産しない企業」の違いとは?【経済評論家が解説】
企業の利益とキャッシュフローを乖離させる「減価償却」とは
企業が鉛筆を買った場合、会計年度内に使い終わらなくても、購入代金は購入した会計年度の費用として計上します。鉛筆が半分残っているから購入代金の半額だけ「使いかけの鉛筆」という資産を貸借対照表に載せておく、というのは面倒ですから、鉛筆は使ってしまったことにするわけです。 しかし、滅多に買わない高価な設備機械の場合は、10年間使う予定の機械の購入費用を今年度に計上すると、今年度が赤字になり、来年度からは大幅な黒字になる、といった事が起きかねません。 そこで、「10年かけて機械が10分の1ずつ擦り減るので、機械の価値が10分の1ずつ減っていく」という会計処理をするのです。これを「減価償却」と呼びます。上記の例でいえば、毎年10万円ずつ機械の価値が減っていくと考えるので、損益計算書では費用が10万円計上されますし、貸借対照表では機械の価値が毎年10万円ずつ減っていくわけです。 企業が「赤字」ではなく「利益がゼロ」だとしましょう。10万円の材料を使って製品を作り、20万円で売っているという場合です。現金は購入時に一気に出ていくのに、費用は毎年10万円ずつ計上されるわけですから、1年目は現金が減っても損失はなく、2年目以降は利益が出ないのに現金が増えていく、ということが起きるのです。減価償却があると、「利益」と「現金」が異なった動きをするので要注意です。 今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。 筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義