箱根駅伝〝ラストラン〟へ意欲 四中工高出身の土器屋、山梨学院大メンバー入り
第101回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)は来年1月2、3日、東京・大手町から神奈川・芦ノ湖までの往復10区間、217・1キロで争われる。出場21チームのエントリー選手(各16人以内)は今月10日に発表され、三重県内の高校出身者は5人。5年連続38度目の出場となる山梨学院大では、四日市中央工業高校入学後に陸上競技を始めた4年生、土器屋快都(21)(どきや・はやと)が初めてメンバー入りした。 10月の箱根予選会でチーム3番目の個人66位で同校の3位通過に貢献した。高校3年間で県高校駅伝の最高着順は3年目の7位。陸上の長距離では県内でも目立った実績のない四中工から箱根の常連校に進み、大学最後の年に念願の登録選手入りした。卒業を機に競技の一線から退く予定で「自分を支えてくださった全ての人に走りで恩返しができれば」と“ラストラン”に意欲を見せる。 両親は実業団チーム、八千代工業の元長距離選手。正月の茶の間に箱根駅伝のテレビ中継が流れる家庭で育った。それでも幼い頃は野球に夢中。四日市市立笹川中時代も野球部所属だったが、160センチ台の細身の体に限界を感じるように。校内で選抜されて地域の駅伝大会に出場したことで長距離種目に興味を持ち、高校で陸上部に入った。 高校入学当時は就職希望。得意の長距離で「取りあえず校内1番になりたい」と考えていた。転機は陸上部の顧問に元箱根ランナーの野田道胤教諭(49)が加わった高2の春。上野工(現伊賀白鳳)高から日本体育大に進み、大学2年時のU20世界選手権男子1万メートルで銅メダル。その後実業団のホンダなどで活躍した新顧問のもと、スピードを強化した。 練習場所は、主に学校周囲の田んぼを周回するコースだったが「やってくれと言うことは100パーセント完遂する」(野田教諭)実直さで実力を伸ばした。2年秋に5000メートルと3000メートル障害で県大会入賞、東海大会初出場と活躍の機会が増える中でレベルの高い関東の大学で勝負したいという意欲が芽生えた。 高校3年目の2020年はコロナ禍で、レースに出場する機会が激減したが、野田教諭の後押しで参加した、7月の山梨学院大記録会で、5000メートルで15分台を初めて切る14分56秒50秒の自己新記録を出したことをきっかけに、憧れの箱根常連校への扉を開いた。 大学入学直後は走る量が高校時代の「2、3倍」に増えた影響で故障にも悩まされた。上野工OBの野田教諭から贈られた五カ条「感謝・謙虚・反省・素直・奉仕」を心に刻んで練習に励み、2年目から箱根予選会メンバーに名を連ねた。毎年応援のため、予選会に駆け付けてくれた四中工陸上部の同期らの存在も心強かった。 箱根の区間エントリー10人は29日に発表され、自身は最終区間の10区を希望している。登録選手入りを電話で報告した野田教諭からは「土器屋が4年間やってきたことは間違いない。(箱根路に)出ても出なくても応援に行く」と声をかけられたという。周囲の励ましを胸に「4年間の集大成。どんな形であれ全力で取り組んで、笑って終われたら」と話している。