長谷部誠が日本代表のコーチに就任したことのメリットは? 福西崇史「間違いなく選手と監督との風通しは良くなる」
もう一つは選手と監督の間に入ってコミュニケーションをより円滑にできること。森保監督は選手の話を聞いてくれる人ではありますが、長谷部がいることでよりそうした環境を整えるという狙いがあると思います。 森保監督は「選手たちのほうが、経験値がある」という話をしていましたが、長谷部がそこで監督と選手の間に入り、相談に乗りながら選手側の意見として吸い上げ、監督に通すこともできます。 それから代表のトレーニングも分業制になって、攻撃については名波コーチや前田遼一コーチが仕切り、守備については齊藤俊秀コーチがやっていますが、コーチにもそれぞれ考え方があるなかで、選手側の考えを長谷部が集め、それをコーチ陣と共有する。そうしたことができると思います。 私が現役の頃は、監督と選手の距離はそれほど近いものではなく、それによって抱えていた不安や悩みはあったけれど、長谷部のような存在はもちろんいませんでした。だから今の代表がすごく羨ましくもあります。長谷部がいることで、選手と監督との風通しはよりよくなるのも間違いないと思います。 それとキャプテンの遠藤航が長谷部にキャプテンとしての悩みを相談できることも非常に大きいと思います。遠藤は自分をキャプテンぽくないと言っていて、長谷部も最初はそんなことを言ってキャプテンマークを巻いていました。 それでも長谷部ほど長く代表のキャプテンを全うした選手はいません。遠藤が抱えるであろうキャプテンとしての悩みをわかってあげられると思います。そうしたことを打ち明けられる数少ない貴重な存在だと思います。 最終予選は最高のスタートを切れましたが、今後もそうなるとは限りません。難しい局面になるほど、経験が求められるものです。本大会への出場を決めることができれば、より彼の経験値が代表チームにとって大きなものになるでしょう。 今後、長谷部がどのように代表チームに影響力を与え、日本の発展に貢献してくれるのか楽しみにしたいと思います。 構成/篠 幸彦 撮影/鈴木大喜